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《記者コラム》一部支持者の声しか聞かない大統領=医療崩壊のつけは国民が払う?

弾劾請求の声が高まり、ベニテス大統領が対処に躍起と伝える8日付エスタード紙の記事の一部

弾劾請求の声が高まり、ベニテス大統領が対処に躍起と伝える8日付エスタード紙の記事の一部

 先日来、隣国パラグアイが揺れている。新型コロナ対策の感染拡大で医薬品や病床不足が起き、当局者への批判が高まって抗議行動が連日勃発、保健相交代では収まらず、マリオ・ベニテス大統領弾劾への動きが加速化しているのだ。
 同国は感染初期には感染者を低水準に抑えていたが、9月以降、感染者が急増した。今月は過去最多を記録している。それでも、同国の死者は8日現在で3343人、死亡率は465人/100万人だ。
 一方、ブラジルでは9日現在の死者が26万8370人、死亡率が1277人/100万人に達している。それに比べれば隣国の状況はかなりまし。それでも、お隣の国民は大統領弾劾を叫んで連日街頭に出ている。
 他方、ブラジルは、1日平均6万8千人の感染者が出て、1日平均の死者も1573人に達しているのに、薬品不足や病床不足の責任を問う大統領弾劾の声より、感染抑制を願い、規制強化を行う知事達に対する抗議行動の方が目立ち、参加者間の感染増も招いている。
 国としての対策を採らず、ワクチン不足で予防接種計画の中断が起きるような事態を招く保健省や現政権の責任は大きい。だが、検察庁内で出た大統領の責任を問う声はもみ消され、個人の責任を問うのは困難との理由で捜査もお蔵入りした。
 だが、大統領支持派の多い地域では感染者や死者が多いという調査結果や、大統領同様、外出規制強化に反対する市長が州の方針に反し、自粛の必要を否定するなど、大統領の言動の影響は大きい。
 反議会、反最高裁、反民主主義のデモが続いた時期の連邦直轄区の感染者急増や、同区の感染率が高い事もその証拠の一つだが、つけを払わされるのは国民だ。
 外出自粛規制疲れはわかる。「自分だけは大丈夫」と思うのも人の常だ。
 だが、国中が「感染しても病床なし」の医療崩壊状況になりかけて死者が溢れても、相変わらず予防接種を否定して、「外に出よ」「マスクはしない」と言いはる大統領の姿勢はいかがなものか。
 18年の選挙時はボルソナロ氏に投票したが、現在の有り様にあきれて、考えを変えた人が増えているという。
 ブラジルの罷免問題は進んでいないが、来年の大統領選の最大の敵はルーラ氏ではなく、ワクチン不足との声も出て来始めた。(み)

 

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