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【特別企画】新来シリア移民が見たサンパウロ=日本人と何が違って何が同じ?《5》=食にこだわり、日本に似てる?

トルココーヒーを煮出す鍋とおもてなし用のポット

トルココーヒーを煮出す鍋とおもてなし用のポット

アラブのコーヒー

 アラブのコーヒーはブラジルよりも古い歴史があります。ブラジルはコーヒーの産地なのにおいしいコーヒーが少ないですね。
 まず、イエメンはアラブ人のルーツの地であり、コーヒーの起源の地です。イエメンのコーヒー豆は良質です。
 アラブ人は古くからコーヒーを知っています。残念ながら、現在のイエメンは多くの戦争に巻き込まれ、コーヒー農園も破壊され、誰も栽培できなくなっています。
 イエメンのコーヒー豆の質は、ブラジルよりも優れてきました。イエメンと米国を往来していたある人は、米国にイエメン産コーヒーを輸入し、スターバックスのような店を開き、大成功を収めました。
 アラブのコーヒーは2種類あります。伝統的なベドウィンのコーヒーと日常的に飲まれるトルココーヒーです。ベドウィンのコーヒーは、彼らの家で生のコーヒー豆を長時間、弱火で炭火焼きします。それを挽いてカルダモンとまぜてから煮出すというとても手間のかかるものです。
 これは異次元の味で、濃いですが信じられないほどおいしいです。普段はこのようなコーヒーは飲めず、町の人々はお葬式に招待された時などに出されます。
 トルココーヒーはこの様な鍋で水から弱火で煮出します。これは中東で友人が買ってきたカルダモン入りのコーヒーです。
 とても繊細な味です。普通、私たちは砂糖を入れずに飲みます。お客さんを招いた時や結婚式、お葬式の時には特別なポットに入れて出します。
 実際にはアラブではコーヒーよりもお茶、特に紅茶がよく飲まれます。サンパウロでもアラブから輸入された茶葉が販売されています。大体1日に3回飲み、コーヒーは朝しか飲みません。

ブラジルのアラブ料理

 ブラジルのアラブ料理の味は物足りないです。アラブ本国の味とは質が異なります。例えば、サンパウロには昔からのアラブ料理店があります。しかし今、そこのシェフはブラジル人です。もとの味は失われています。また、ブラジルに来たアラブ人が手っ取り早いのでアラブ料理店を開きます。もとは飲食業を営んでいた人たちではありません。
 シリアの飲食店は曾祖父の代からやっていたというような店が多く、友人にも曾祖父の時代からエスフィッハ店を営業していた人がいますが、秘伝のレシピを持っています。だから誰でも簡単に同じ料理は作られません。
 シリアで新しいレストランを開こうとすれば、良い食材やレシピがなければ失敗します。シリアでは単品の専門店が多く存在します。ブラジルでは違います。もし今日、私がレストランを開こうとしたら明日にはお客さんが来ています。あと、シリアではシリアパンのお替りは自由です。

おいしいものが選ばれる

 ブラジル人は料理の味にそれほどこだわりがないと思います。ブラジル人は味があって安ければ満足できる人が多いようです。味よりも店の外観や内装に注目します。
 ブラジルの一般的な食事は、米、豆、肉、サラダといったシンプルなもので、より手の込んだ料理をできない人が多いため、おいしさへのこだわりも少ないのかもしれません。
 シリアでは店を選ぶ時、よりおいしい料理を作ってくれるところを選びます。我々は料理に関してはとてもうるさいです。おいしい料理のためなら時間とお金をかけます。時間をかけてアボブリーニャをくりぬき、ブドウの葉っぱで一枚ずつ包みます。
 今、パンデミックでブラジルでは毎日食事を外注する人がいます。シリアでは毎日外食することはありません。普段、私たちは家で食べます。仕事の時は昼食をファーストフードにすることはありますが、夕食はしっかりと食べます。
 日本人が弁当を持って行くという感覚は我々の習慣により近いです。家の料理、母や妻の料理が一番好きで、毎日同じ料理を食べ続けることはありません。(つづく)

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