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《ブラジル》80歳以上の死者が激減=コロナワクチンの効果顕著

ドライブスルーでワクチン接種を受ける人(Tania Rego/Agencia Brasil)

 ペロタス連邦大学が、ブラジル国内で新型コロナのワクチン接種を始めて以来、80歳以上の死者が減少し、コロナ感染症による死者に占める割合が大幅低下と発表したと4日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 2020年の場合、80歳以上の人がコロナ感染症による死者に占める割合は25~30%だったが、4月の終わりには13%になったという。予防接種が始まる1月の時点での80歳以上の犠牲者が占める割合は28%だった。
 同大学のセーザル・ヴィトリア氏によると、ワクチン接種によって死者や入院患者数の減少が起きる事は、ワクチン接種の実施率が総人口の55%以上に達しているイスラエルの例などでも明らかだった。ブラジルの場合、マナウスで発見された感染力が強いP1型の変異株の感染が広がる中でも同様の結果が出た事は異議深いという。
 ブラジルでは3日現在の死者が40万8622人に及び、100万人あたりの死亡率も1944人となった。予防接種は2日現在で、初回のみが14%、2度受けたが6・5%。
 同大学が分析したのは1月3日から4月22日のコロナの犠牲者のデータだ。この間のコロナ感染症による死者は17万1454人だった。
 今年年頭の80歳以上の人のコロナ感染症による死亡率は、79歳以下の人達の死亡率より13・7倍も高かったが、4月上旬はこの差が6・9倍に縮小したという。

 この事は、高齢者が死亡する割合が減った事と同時に、P1による感染者や死者が若い人達の間で増えている事も示す。だが、現在はまだ優先グループへのワクチン接種の途中であるため、若い人達まで接種が及ぶのには時間がかかる。
 同大学によると、変異株の出現によって若い人たちの死亡率が上昇したのに合わせて、高齢者も同じペースで亡くなったと想定して死者数を試算したところ、4万8千人に達する計算になっていたが、実際の死者は3万4168人で、少なくとも1万3800人の死が避けられたという。
 80歳以上の人の接種率は2月前半が50%、3月後半が80%で、3月には95%となった。死亡率低下は初回接種からある程度まで期待できるが、抗体は2度目の接種で強化されるので、より高い感染や重症化防止効果を望むなら、2度の接種は不可欠だ。
 高齢者での調査はP1株に対する効果も証明した。予防接種が変異株による流行下でも死亡率を低下させる事は、マナウス市とサンパウロ市で行われた医療従事者での調査でも確認されている。

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