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アマゾン森林農法を紹介=会議所の異業種交流会で=100人が熱心に耳傾ける

ウェブ講演会でトメアスーから輸出されるフルーツを説明する乙幡氏

ウェブ講演会でトメアスーから輸出されるフルーツを説明する乙幡氏

 ブラジル日本商工会議所主催、パラー日系商工会議所協賛のウェブ講演会「日系人コミュニティが貢献するアマゾンのSDGs~アグロフォレストリー(森林農法)~」が、4月28日(水)午前10時から、トメアスー総合農業協同組合(CAMTA)代表の乙幡アルベルト氏を講師に招いて実施された。ブラジルのテレビ番組グローボ・ルラルでも紹介されたことで、国内各地から視察の申し込みが急増しているパラー州トメアスーの森林農法への取り組みについて、約100人の視聴者が熱心に耳を傾けた。


 最初に、異業種交流委員会の吉田伸弘委員長(住友商事ブラジル)から、異業種交流委員会の新旧役員メンバーの交代が発表された。パンデミック以前は会場で行われていた異業種交流会を継続するため、パンデミックが落ち着くまではウェブ上を中心に各種イベントが企画されている。
 今回、講演のテーマとなった農業と林業を組み合わせたアグロフォレストリーは、1970年代以降にアマゾンの日系農家が実践し、JICAもサポートしてアマゾン全体の自然を守り、その経験が世界に発信されている農法だ。
 1929年にトメアスに初めて入植した日本人移民は、マラリアや貧困を乗り越え、カカオや野菜、米などの栽培を試みたが当初は上手く行かず、同地を後にする日系人家族も少なくなかった。1950年代に入って「黒いダイヤ」と呼ばれた胡椒栽培で大成功を収めたものの、当時から単一栽培での農業は危険と助言され、それが現実となり、1970年代には植物への病害とオイルショックで収入が激減した。
 当時、苦境の中で立ちあがったのが故・坂口陞(のぼる)氏で、川沿いで暮らす先住民たちが、様々な種類の作物を混植して飢えることなく暮らしていることにヒントを得て、アグロフォレストリーの原点である混植を体系的に始めた。
 森林を焼くことなく、保護しながら混植による作物の栽培を行う森林農法は、環境的にも経済的にも持続的な農業だ。特にカカオは40%の陰の中でしか育つことができず、アサイとの混植が主流。作物の組み合わせは農家によって異なり、例えば、胡椒とドラゴンフルーツの組み合わせなど、一つの植物が育たなくなった場合でも、もう片方が生き残ることで、長期的な収穫を見込んで経済的に成立する作物が選ばれている。
 トメアスーの作物、例えばカカオは地理的表示認証を取得してブランドもついており、今後は価格に付加価値がつくことが望まれている。ブラジルの大手化粧品会社ナトゥーラのように、同農法の価値を認め、ブラジルナッツやアンジローバの油などを購入するケースやカーボンクレジット取得への取り組みもある。
 その一方、他地域で生産される作物との差別化や環境付加価値の市場価格への反映、流通インフラなど改善、アグロフォレストリーの地域農家への教育拡充などが課題となっている。
 トメアスー総合農業協同組合は、13種類のフルーツを米国、メキシコ、ドイツ、アルゼンチン、日本にも輸出する。パンデミックが落ち着いたら、同地産のフルーツジュースが飲める店を聖市リベルダーデ地区をはじめ、8店舗オープンする予定があるという。「トメアスーのフルーツの味をサンパウロでも試していただければ」と乙幡氏は気合いを入れる。
 講演の後、司会者を務めた異業種交流委員会副委員長の江口雅之氏(JICAブラジル事務所)は、「パンデミックが収束したら、商工会議所によるトメアスーの視察ツアーを組みたいと思う」と会員企業とトメアスーとの関係強化の期待を述べた。

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