【既報関連】ロライマ州などで先住民居住地への襲撃事件が頻発している事などを受け、最高裁のルイス・バローゾ判事が24日、改めて、連邦政府に先住民の保護を命じたと24~25日付現地サイトが報じた。
先住民への襲撃事件が頻発しているのは、ロライマ州やアマゾナス州に広がるヤノマミ族の居住地やパラー州のムンドゥルク族の居住地だ。
先住民居住地で不法侵入者らによる襲撃事件が頻発している事や、不法伐採や違法木材の輸出などが起きている事、新型コロナウイルスへの感染者や死者が多発している事は、市民団体や先住民保護に関心を持つ政党などからの訴えでも繰り返し伝えられていた。
ヤノマミ族居住地で起きた金鉱夫らによる襲撃事件は今月10日以降も何日か繰り返され、先住民と金鉱夫の双方に死傷者が出ている。
ムンドゥルク族の居住地での不法伐採と違法木材輸出問題では、連警が19日に、リカルド・サレス環境相や国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の院長らも含めた公職者の汚職を視野に入れた「アクアンドゥバ作戦」を敢行した。
同作戦敢行直後も、米国がブラジルから輸入した木材に輸出許可証がないものが含まれていたと通達してくるなど、法定アマゾンの開発に関連する犯罪行為や先住民の人権問題は相変わらず、国内外の注目を浴びている。
24日の判決は、ブラジル先住民連合(Apib)や社会党(PSB)の訴えを受けたもので、ヤノマミ族やムンドゥルク族など、7種族の居住地からの侵入者撤去などを含む治安維持と、先住民の権利擁護が確認された。
司法当局は既に連邦政府に対して侵入者隔離計画を提出する事を命じており、バローゾ判事は、「連警は7テーラ・インディジェナ計画も提示済み」と前置き後、連警や国家治安部隊の派遣なども含む、先住民の生命と健康、治安を守るための措置をただちに採るよう命じた。先住民居住地を巡る連警の作戦は4月末から始まる予定で、極秘扱いで展開される事になっている。
同判事は昨年7月も新型コロナのパンデミック下での先住民保護に関する仮判決を出しており、大法廷も全員一致で仮判決を支持した。
だが、先住民居住地での保健対策や、居住地以外の場所や市街地にいて統一医療保健システム(SUS)へのアクセスが困難な先住民への予防接種などは不十分で、24日には同件に関する連邦政府の対応への批判も行われた。
19日に連警が行った「アクアンドゥバ作戦」は、アレッシャンドレ・モラエス判事が担当しているが、連邦検察庁のアウグスト・アラス長官が25日にモラエス判事を同件から外すよう要請し、物議を醸した。
アラス長官は、同件はサレス環境相が連警や環境監査団体による監査活動を阻害し、違法木材の押収を妨げているとのアマゾナス州連警の訴えを扱っているカルメン・ルシア判事が扱うべきとした。だが、モラエス判事は26日、二つの件は内容や対象が異なり、担当交代は不要と明言した。
連警は25日も、環境相らの不正関与を示す報告書を提出している。
★2021年5月13日《アマゾン》ヤノマミ族居住地を襲撃=マフィア絡みの違法金鉱夫ら=軍の掃討作戦後も続く抗争
★2021年5月20日《ブラジル》環境相自らアマゾン木材密輸に関与?=自然保護機関のはずが=違法伐採業者に便宜も
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