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コロナ禍で起きる退行現象

コロナ禍で電子機器に向き合う機会が増えた子供達(Arquivo/Agência Brasil)

コロナ禍で電子機器に向き合う機会が増えた子供達(Arquivo/Agência Brasil)

 6月27日付エスタード紙などが、「外出自粛(クアレンテーナ)中、0~3歳児の4人に1人に退行現象が見られた」と報じた。退行現象は急激な環境変化によって幼児が赤ん坊のように振舞う事をさし、「赤ちゃん返り」ともいう。
 退行現象の具体例は「発話が減る」「1語文、2語文が増える」「固形物を食べず、哺乳瓶を使い始める」「お漏らしをする」「むやみにぐずり、泣き止まない」「おしゃぶりを使いたがる」などだ。
 これらの行動の多くは、コロナに感染する事を恐れる大人の気持ちを感じたり、急激な日常の変化を体験したりしてストレスを感じた子供達が、自分に注意を向けさせようとして起きた可能性が高い。また、コロナ禍でうつ病になる子供達もいる。
 このように書くと、「クアレンテーナの間は両親が自宅勤務でいつも傍にいるケースも多いのになぜ?」と感じる人も多いかも知れない。だが「両親が同じ屋根の下にいる」=「遊ぶ、話しかけるなどの適度の刺激を与えている」とは限らない。
 コロナ禍で家にこもるようになった結果、電子機器を手にする子供が増え、使用する時間も延びているし、「言葉の発達が遅れているのでは」と案じて小児科医や精神科医を訪ねる親子も増えている―との部分からは、昔読んだ『テレビに子守をさせないで』という本の事も思い出した。
 子供は通常、家庭や公園、幼稚園など、様々なところで適切な刺激を受け、社会性を身につける。だが、コロナ禍で外出もままならず、両親などの限られた人としか過ごさないために対話の量が減ると、発話の遅れや一度外したオムツやおしゃぶりが必要になるといった事も起こり得る。
 コロナ禍では大人もゆとりをなくしがちで、家庭内暴力や女性殺人なども増えているし、幼稚園や保育園に子供を預けられないため、母親が仕事に戻れず、家計が逼迫している例も多い。
 子供達は柔軟性があり、日常さえ戻れば正常な成長曲線を描き始める可能性が大人より大きい。それが孫であれ、ひ孫であれ、パンデミックが収まるまでは、コロナの影響を多少なりとも軽減させ、将来速やかに社会生活に再適応できるよう、おおらかかつ細やかに見守り、自然により近い形の成長を促したい。   (み)

★2021年1月6日《ブラジル》巣ごもり生活で幼児が発達遅滞に?=発話の遅れや人格形成に悪影響も=外界の刺激が乏しく

★2020年5月30日《ブラジル》スペインぬきコロナ死者数世界5位に=失業激増や所得減で精神病も

★2026年4月8日特別学級の在日ブラジル人児童激増=知的障害増加? それとも…=「ここ数年で特に顕著」=中川さん「危機の子供たち」

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