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《ブラジル》コロナ禍=親亡くした未成年11万3千人=父親だけで8万7500人も=女性は子守で職歴に悪影響大

コロナ禍で5分に1人の子供が親を失ったと報じる22日付G1サイトの記事の一部

 20日付の国際的な科学雑誌『ランセット』によると、ブラジルでは昨年の3月から今年の4月までに新型コロナ感染症で片親または両親を失った未成年者が11万3千人いる事が判明したと21日付現地サイトが報じた。
 親を失った子供は5分に1人の割で増えており、この内の8万7500人は通常なら家計の中心である父親を失ったという。保護者である祖父母を亡くした未成年者も入れると、この数は13万人に及んでいる。
 この調査の責任者は、子供達は保護者を失い、困窮に直面する可能性の高さでコロナ禍の犠牲者となりうるとした後、死者発生を避ける事、遺族の生活保障を考える事、未成年者のための社会支援を充実させる事を緊急課題として挙げている。
 ワクチン接種が進み、新型コロナの感染者や死者が減少傾向にあるが、パンデミックの影響は、親のキャリアや親を亡くした子供の増加など、数字になりにくい部分でも根深いものがある。
 23日付エスタード紙などによると、コロナ禍で学校や保育園などが対面授業を停止した事などで働きに出る事ができなくなり、職を失ったり、所得が減ったりという悪影響を受けている親は何百万人もいる。

 学校や保育園が休みになったり、リモート授業になったりした事で子供が家にいる時間が延び、仕事に出られなくなったり就労時間が減ったりした人、責任ある役割を提供されたが断ったり職探しを諦めたりした人は母親の方が多い。特に、小さな子供のいる母子家庭では影響は深刻だ。
 この点は在宅勤務者でも同様で、子供への対応や家事のために仕事が中断されたりして思うように働けない人や仕事の継続を諦めた人もいる。
 コロナ禍故の就労時間短縮や一時的な就労停止は短期的な影響といえるかもしれないが、退職や休職などによる一時的な職能停止は、これまで積み上げてきたキャリアを失う事を意味する可能性や、新たな状況下で仕事を探す場合などに悪影響を及ぼす可能性がある。
 別の調査では、学校や保育園に行けない子供がいる家庭では、何らかの問題が起きて調査直前の週の就労時間が通常の就労時間より減った人が26%いた。また、4人に1人は子供の世話をするために辞職し、5人に1人は有給休暇などを使う必要が生じたという。
 就労時間が減ったり辞職したりした人の多くは女性だが、妻が外勤、出産時や出産後に妻が死亡といった理由で子供の世話をしている男性も、就労時間減少などの影響を受けている。

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