新型コロナのワクチン接種が進展し、全国的に感染者や死者、入院患者が減っている。だがリオ州も死者は減少傾向にあるものの、集中治療室(UTI)の病床占有率が90%を超えている市が12あり、感染拡大傾向が続いていると8月27~31日付現地サイトが報じた。
リオ州で死者減少と報じたのは、8月27日付アジェンシア・ブラジルだ。7月25~31日(感染学上の第30週)と8月8~14日(感染学上の第32週)とでは、908人が673人に11%減少している。
ただし、続く第33週(8月15~21日)と第34週(8月21~28日)の死者は736人、853人と増加に転じている。
他方、感染者は第30週1万8095人、第31週2万7072人、第32週2万1846人、第33週2万3469人、第34週2万397人で、第32週と第34週以外は全て、前週比で増加中だ。換言すれば、第33~第34週の死者増は、第30週から(厳密にいえば第27週から)見られていた感染者増が別の形で表れた結果といえる。
同州の感染者増は病床占有率上昇を招いており、8月29日付CNNブラジルはリオ州保健局が感染拡大リスクを「中」に引き上げた事と、12市でUTIの占有率が90%を超えた事を報じた。
同州のコロナ感染加速はデルタ株の影響が大きい。その事は、新規感染者の60・3%はデルタ株感染で、リオ市でも56・6%を占めたとの8月16日の州、市保健局の発表でも明らかだ。8月14日の時点では、同州の新規感染者に占めるデルタ株感染者は45%だった。8月18日付Exameサイトでは、デルタ株感染者は1週間で84%増えたとも報じている。
デルタ株による感染拡大は、9月2日を「再開の日」として、3日間連続で再開を祝うイベントを開催する事を予定していたリオ市市役所の計画を後退させた。同市では懸命に、規制の再強化や予防接種の加速化を進めている。
この事は、8月25日に、国に先駆け、9月1日から全市で、3度目のワクチン接種を行うとする決断にも導いた。
専門家はリオ市の例は全国でも起こり得る事と警告しており、予防接種を急ぐ州も出ているが、保健省はリオ州へのワクチン配布量を5%増しとする配慮を見せた後、「国の計画に従わなければワクチン不足が起こる」と脅すなど、態度を硬化させている。