ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》バイア州=早期治療擁護の保健局長解任=通称は「ドトール・クロロキン」大統領は現在もKit推奨も

《ブラジル》バイア州=早期治療擁護の保健局長解任=通称は「ドトール・クロロキン」大統領は現在もKit推奨も

クロロキン先生解任と報じる2日付UOLサイトの記事の一部

 バイア州ポルト・セグーロ市のジャニオ・ボルジェス市長が女医で保健局長のライッサ・ソアレス氏を解任し、1日付官報に掲載したと2日付伯字サイトが報じた。
 ソアレス氏は「ドトール・クロロキン」という通称で知られる早期治療擁護者。新型コロナ感染症患者へのヒドロキシクロロキン使用に関するレポートをネット上に掲載したり、同薬をもっと送るようボルソナロ大統領に要請したりして物議を醸していたが、今年1月に保健局長に就任した。
 クロロキンは米国のトランプ元大統領やボルソナロ大統領が推奨し、パンデミック初期には米国でも一時的に緊急使用が認められた。だが、昨年5月頃からは、同薬は新型コロナ感染症に有効とはいえず、死亡率が高まる例さえあるなどという研究報告が続き、米国も昨年6月15日に緊急使用許可を取り消した。
 それにも関わらず、ブラジル保健省は同じ日に、子供や妊婦はハイリスクのグループに入ると理由をつけてクロロキンの使用を推奨するなど、科学的な根拠のないクロロキン崇拝が続いていた。
 クロロキンはイベルメクチンなどと共に早期治療用の「Kit Covid」に組み込まれ、軍を使った大量生産やインドからの緊急輸入、米国からの寄贈などで大量の在庫が生じた。Kit使用は保健省のサイトでも推奨され、統一医療保健システム(SUS)を通して全国にも配られた。

 Kitの医薬品に関しては、医師の指導もなく使い、重症化してから受診した例や肝臓などの機能障害を起こし、臓器移植や人工透析が必要な例などが相次ぎ、国家衛生監督庁(Anvisa)が調査に乗り出したが、連邦政府や保健省は早期治療を推奨し続けた。
 この事は上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)でも問題視され、パズエロ前保健相や、「クロロキン隊長」ことマイラ・ピニェイロ局長らの責任が追及された。
 ソアレス氏は保健局長就任後も、新型コロナに感染した人はワクチン接種も1回だけで良いなどという虚報を拡散。同州検察局は8月18日に同氏の解任と資産凍結、Kitの配布や早期治療中止を求めていた。
 早期治療やKit関連では、大手保険会社「プレヴェンチ・セニオル」傘下の病院でKitを含む種々の薬の治験が行われ、Kit処方が強要されていた事やカルテ改ざんが上院CPIで明らかにされ、物議を醸した。プレヴェンチには国家医療サービス監督庁(ANS)の監督官が送られ、Kit処方も禁じられた。大統領は今も、入院加療より廉価として早期治療を擁護している。

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