ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》〝苦悩の歌姫〟マリリア・メンドンサが墜落死=人気絶頂の真っ只中で

《ブラジル》〝苦悩の歌姫〟マリリア・メンドンサが墜落死=人気絶頂の真っ只中で

生前のマリリア(自身のインスタグラムより)

 「不倫に苦しむ女心を歌わせたら右に出るものがいない」と言われ、ブラジル音楽界で屈指の人気を誇っていたセルタネージャ(ブラジル版カントリー音楽)の女性歌手、マリリア・メンドンサが5日、ミナス・ジェライス州で起きた飛行機事故のため、26歳で死去した。人気絶頂での突然死だけに、国内メディアは揃って特番を組んで大々的に報じ、国際的にも注目されている。6〜8日付現地紙が報じている。
 マリリアは1995年にゴイアス州で生まれた。同州は国内屈指の農業地帯である上、セルタネージャの最大の拠点で、マリリアも幼い頃からセルタネージャを愛聴していた。また、12歳でセルタネージャの作詞家としての活動をはじめ、その名が売れ始めた。
 歌手としての活動をはじめたのは2014年からで、2016年にデビュー・アルバム、「マリリア・メンドンサ・アオ・ヴィーヴォ」を発表。この作品で力強い歌唱力が注目され、「センチメント・ロウコ」「インフィエル」の2曲が大ヒットした。
 大柄な体から放たれる類まれな美声と、男性の浮気や不倫に傷つく女性の心理を一貫して歌い続けて注目を浴びていた。そのスタイルは、2012年と17年に世界最大の音楽賞「グラミー賞」の主要部門を独占した英国の女性歌手アデルとの共通点をたびたび指摘され、「ブラジルのアデル」という呼び名でも親しまれた。

マリリアが乗っていた飛行機の残骸(twitter)

 マリリアはストリーミングで国内屈指の女性歌手となり、これまで男性が圧倒的に優位だったセルタネージャの世界に女性歌手が進出する道も切り開いた。また、マイアラ&マライーザやシモーネ&シマイラが彼女に続いた。
 5日、マリリアはミナス・ジェライス州カラチンガでの公演のため、関係者2人と操縦士2人でゴイアニアから小型飛行機で向かっていたが、目的地から数キロの山中に墜落。一時は全員救出と報じられたが、最初に機内に入った救急隊の医師によると、機内は激しく破損しており、搭乗者は全員、事切れていたという。消防隊は最初、搭乗者の名前などを伏せていたが、17時過ぎに全員の死亡が確認、発表された。
 マリリアの死は、週末のブラジルの話題を独占し、国際的にも大々的に報じられた。7日、ストリーミング・サービスのスポティファイは、マリリアの楽曲は6日だけで2800万回聴かれ、この日に世界でもっとも聴かれた女性歌手になったと発表した。
 マリリアの遺体は6日にゴイアニアに運ばれ、この日のうちに葬儀、埋葬が行われた。葬儀には多くのファンも駆けつけたが、夕方からの埋葬は内輪でしめやかに行われた。

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 5日以降週末にかけて、マリリア・メンドンサの事故死がブラジルのテレビや新聞、ネットの話題を独占した。ブラジル音楽界では破格ともいえる勢いで伸び、大成功を収めていた人気歌手の20代での急死ということで、多くの歌手が自分たちのショーで彼女を追悼した他、各方面から追悼の言葉が寄せられた。ボルソナロ大統領もその一人で、6日に追悼のコメントを寄せた。大統領はマリリアが生後11カ月の男の子を残して去ったことを指摘し「2018年の大統領選の最中に刺されたとき、8歳だった娘を残して死にたくないと神に願ったよ」と共感した。マリリアは保守色が強いセルタネージャの歌手でありながら、大統領選期間中にボルソナロ氏を痛烈に批判して保守派から強い批判を受け、反ボルソナロ派からの支持を得た経緯があった。
     ◎
 マリリアがこの世を去った5日、ネイマールは、サッカー・フランス・リーグでのPSGの試合、対ボルドー戦でゴールを決めた後、ユニフォームをめくりあげて「苦難の女王よ、僕は永遠に君のファンだ。RIP MM」と、マリリアへのメッセージを書いたアンダーシャツを見せて弔辞とした。ネイマールとマリリアはテレビで共演するなど、かねてから親交があった。ネイマールは翌6日にも「今日の悪夢が夢であって欲しいと願って寝たよ」とツイートした。

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