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《リオ》貧民街に8人の遺体=仲間を殺害された軍警が報復?

地域住民がマングローブ林から遺体を運び出して集めたところ(Twitter)

 22日午前、リオ州サンゴンサロ市パルメイラス区の巨大ファヴェーラ、サルゲイロ貧民街群 (Complexo do Salgueiro) で大量殺戮が行われ、8人が遺体となって発見された。この現場ではこの2日前に麻薬密売組織と軍警の銃撃戦が起きて、軍警が殺害されたほか、1件の殺人事件が起きていた。
 同事件の波紋は大きく、国連が捜査を求めるなど、国際問題となっている。22、23日付現地紙、サイトが報じている。
 事件が起こったのはサンゴンサロ市のサルゲイロ貧民街群で、軍警特殊作戦部隊のオペーレーション後、マングローブの林の中から、22日の未明から午前中にかけて8体の遺体が発見された。
 この地域では20日朝、軍警のレアンドロ・ルンベルスペルジェル・ダ・シウヴァ軍曹(40)がパトロール中に銃殺されていた。この日は、軍警第7大隊の警官が犯罪集団から襲撃を受けたとの報告が行われており、AK―47と呼ばれるライフルが押収されている。
 軍警の特殊作戦部隊は20日のうちにファヴェーラに入っており、21日にはレアンドロ軍曹を殺害したとされる容疑者のうちのひとりが銃弾を受けた。この男性は病院に運ばれたが息絶えた。
 21日は高齢の女性が1人、流れ弾を腕に受け、負傷する事故も起きている。
 今回の件が問題となったきっかけは、遺体を発見して回収した近隣住民や遺族が、遺体には拷問を受けた痕跡が見受けられたと報告したことだ。
 遺族らによると「胸や足に銃弾の跡があり、臀部にナイフで刺された跡もあった」と証言している。
 軍警は犯罪者たちとの銃撃戦が起きたと説明しているが、住民たちはこれは軍警の行った報復行為だと解釈している。住民のひとりは「私たちは軍警と戦争状態に突入した。だが、それは私たちが望んだものではない」と語っている。
 遺体となって発見された8人の身元は全て判明したが、その中には前科のない人物も含まれていたという。
 軍警も、第7大隊がこの地域を占拠していた状況を認めており、検察を伴った形での捜査をはじめている、
 この事件の残虐性は国際的にも衝撃を与え、国連やアムネスティ・インターナショナルといった人権団体が厳重な捜査を求めている。

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