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連載小説

回想=渡満、終戦、そして引き揚げ=浜田米伊=(6)

 また、これは引き揚げに関した事ではなく、在満中にいつも行っていた事です。  秋になり、雑穀物を収穫して家に運んできてから脱穀する時、キンタウ(裏庭)に平らに水をまき、凍らせてその上で脱穀するのです。地面に広く水を撒くと、何時間もしない内に凍ってしまいます。その上へ大豆でもとうもろこしでも高リャンでも粟でも、何でも広く丸く置きま ...

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回想=渡満、終戦、そして引き揚げ=浜田米伊=(5)

 それからどれ位してからかは記憶に残っていませんが、そこにいる時、私は満人の豆腐屋で働きました。お金はいつも遅れがちでしたが、払ってくれていました。  いよいよチチハルへ南下が決まりました。  ところが、その家族(3人)が「南下せずにここでずっと働いてくれるなら(遅れている3カ月の)給料を支払うが、やめるならば払わない」と言うの ...

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回想=渡満、終戦、そして引き揚げ=浜田米伊=(4)

 この時に幼児でも連れていて、その子がもし泣き出して満人の部落の犬が吠えたりして目を覚まさせたら、皆が殺されてしまうといって、小さい児を連れた母親はみんな「家に置き去りにしてきた」というから、可哀想なものです。そういう子供たちが満人に育てられ、後日、戦争孤児となって、日本に帰ってきた親や兄弟たちを探してもらったりしたそうです。 ...

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回想=渡満、終戦、そして引き揚げ=浜田米伊=(3)

 夜寝る時も、軍服のようなものを着たまま寝ます。これは、いつ起きなければいけないか分からないからです。  話は変わりますが、日本人の兵隊さんが弱ってヒョロヒョロになり、傷ついた方も団へ入って来ました。興安嶺(こうあんれい)へ隠れて逃げてきたのでしょう。何日も食べず飲まずだったのだと思います。そして入ってくるなり、「ここは日本人の ...

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回想=渡満、終戦、そして引き揚げ=浜田米伊=(2)

 春になって一番に咲く花を、満語では迎春花(インチュウホワ)と言います。これが咲き始める少し前くらいには、昼間少し融け始めた屋根の雪が、夕方寒くなるとツララになってぶら下がります。しばらくこの時期があって、次第に暖かくなって種蒔きや植えものなどが始まるのです。  満州は物々交換の国ですから、とれた穀物を合作舎に出して衣類(防寒具 ...

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回想=渡満、終戦、そして引き揚げ=浜田米伊=(1)

 生きのびて  私達は南国土佐(高知県)出身の者で、父母は土佐和紙典具帖紙の工場で働いていました。父は4人兄弟で、上2人姉がいて次に兄(叔父)、それから父は末っ子でした。  父は始めから叔父さんの家族(叔父さんは8人の子供)と同居しており(私達は6人姉兄妹)、父の母親(おばあさん)も達者で、合わせて19人という大家族でした。村長 ...

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連載小説=わが移民人生=おしどり来寿を迎えて= (87) =  山城 勇

 そのため一極集中的に大都市や工業都市に人口集中を余儀なくされ、地方は過疎化し立ち遅れてしまった。  そこでその地域やそれぞれの地方の活性化を図る目的で全国3,300余の市町村に一率一億円を交付した。  そして自から考え自ら行う特殊事業でもって故郷の活性化・創生をはかること。  同時に海外日系社会においても、同じように2世・3世 ...

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連載小説=わが移民人生=おしどり来寿を迎えて= (86) =   山城 勇

  地域別にみると、在住者数の多さに比例してブラジル、ペルー、ハワイ・・・・の順となっている。  特に、ブラジルの788人、ペルーの471人については、両国の最近の政治、経済状況からすると当初予想をはるかに上回る参加者数となっている。    ヨーロッパの諸地域については、県人会組織の未整備、広報周知法の不足もあって民間 ...

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連載小説=わが移民人生=おしどり来寿を迎えて=(85)=  山城 勇

6 世界のウチナーンチュー大会 1990年8月23日~26日  本大会は西銘順治知事就任以来の重要施策の一つだったようで、その3年前の1987年海邦国体にも海外移住者特別招待があり、7カ国から約500名の海外移住者達が特別招待を受けている。  そして県を始め各市町村長会などの共催で「ワールド・ウチナーンチュー・フェスティバル」を ...

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連載小説=わが移民人生=おしどり来寿を迎えて=(84) =  山城 勇

 金城ウト(沖縄系2世第1号)に聞く1908年(明治41年)6月18日、第1回ブラジル移民、笠戸丸乗船者の沖縄県人の家族構成49家族の中に、宮平牛助(26歳)を家長として、妻カメ(26歳)甥の比嘉善太郎(13歳)、妻の従兄山城武太(27歳)、妻の従弟比嘉松助(18歳)、従弟玉城登嘉(23歳)、仝山城保次郎(19歳)、仝宮城利三郎 ...

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