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2012年

国家事業救った8人の侍=知られざる戦後移民秘話=第4回=国家の命運掛けた大工事=植木動力大臣が特別任命

 日本の高度経済成長は1955年から石油ショックが起きた73年まで20年近く続いたが、ブラジルでは68年から73年までの5年間だった。年率10%以上の経済成長を記録したその期間を〃ブラジルの奇跡〃と呼ぶ。  これを反映して日本企業だけを見ても72年の52社を先頭に73年には98社、74年に78社、75年には60社とわずか4年間で ...

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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第6回

ニッケイ新聞 2012年5月30日付け  大浦君は、92頁に《我が人生に悔いなし》と書いているし、最終頁にも《悔いのない生き方をしてきた》とあるが、僕は彼とは反対に悔いだらけの人生だった。それについて少し書く。  ①ブラジル学校の勉強をつづけなかった。(僕の仲人の福川薩然さん〔さつねん〕は、会う度に、「正義君は、何うして勉強をつ ...

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国家事業救った8人の侍=知られざる戦後移民秘話=第3回=世界最大の発電能力誇る=最後発世代と軍事政権

 2009年11月10日夜10時13分、イタイプーダムの送電設備に端を発する大停電が起き、パラナ州とサンパウロ州を中心とする18州、実にブラジル全土の3割に相当する地域への電力供給が止まったことは記憶に新しい。これはブラジル史上2番目に大規模な停電として歴史に残った。つまり、イタイプーが止まればブラジルも止まる。  このダムはパ ...

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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第5回

ニッケイ新聞 2012年5月29日付け  大浦文雄にとって詩は活動の指針であり、生を営む羅針盤であった。従って、詩は大浦文雄から絶対に切り離すことの出来ない物である。今後も、きっと詩を綴りつづけるだろう。  高原純(ペンネーム。本名=井本惇〔あつし〕)は、大浦君の生涯の中で、最も心を開いて付き合った心友(親友ではない)の1人であ ...

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国家事業救った8人の侍=知られざる戦後移民秘話=第2回=「男の仕事」求めて渡伯=測量ミス発見し有名に

 荒木昭次郎(74、山形、青年隊9期)=ミナス州ベロ・オリゾンテ在住=は、56年に山形工業学校土木科を卒業し、上京して建設会社で働いた。いわゆる戦後の「金の卵」世代だ。  日本で食えなかったわけではない。むしろ景気は右肩上がりの高度経済成長に突入していた。ただ、自社の営業部員が連日、談合や接待に明け暮れている様子を横目に見て、そ ...

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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第4回

ニッケイ新聞 2012年5月26日付け  高野芳久と僕はサントス丸の同航者である。  本誌にも書いてある高野耕声の名作『井戸』と僕の『断絶』は、コロニア小説選集に一緒に掲載されている。もう1人の同航者・梅木昌之(本名、袈裟夫〔けさお〕)の『切手』も一緒に——。  同じ小説選集に、同航者3人の作品が同時掲載されているのは、恐らく唯 ...

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国家事業救った8人の侍=知られざる戦後移民秘話=第1回=“イタイプーのSWAT(スワット)”=山根一眞が週刊誌で紹介

 30年前の1982年、イタイプーダムは静かに貯水湖へ水を湛えはじめた。以来、世界最大の名をほしいままにしてきたブラジルが誇る巨大建造物に、戦後移民の〃8人のサムライ〃が重要な役割を果たしていたことは、『ブラジル日本移民80年史』や『戦後移住の50年』にすら書かれておらず、事実上、南米産業開発青年隊(以下、青年隊)の内部でしか知 ...

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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第3回

ニッケイ新聞 2012年5月25日付け  さて18歳になり、矢張り福博村に住んでいた上村俊幸と出合う。  第2章の「2、第1期放電時代(村の文化運動時代)」「青年会入会」を読むと、青年会々長だった上村俊幸に青年会に入らないかと誘われて、大浦君は入会する。会館の外で焚き火をして、夜中の1時、2時まで話し合ったそうだ。  後、詩集『 ...

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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第2回

ニッケイ新聞 2012年5月24日付け  前節に記した点意外に、準二世とは関係のない類似点もある。  第2章の「宮坂国人翁の死を悼む」の項に、《宮坂さんが、何回誘われても帰化せず、日本人として一生を終えたその気位に同感した。僕自身も、そうするつもりで生きている》と、大浦君は書いている。  京野四郎が在伯山口県人会の会長に就任した ...

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『子供移民 大浦文雄』を読む=モジ 則近正義=第1回

ニッケイ新聞 2012年5月23日付け  モジ在住の詩人・則近正義さんが、スザノ福伯村の旧友である大浦文雄さんが出版した『農村に生きる或る準二世の軌跡』を読んだ感想を本紙に寄稿した。大浦さんの人生と自らの経歴を重ねながら、文芸を愛する戦前の準二世の心情が深く記述されており、当時のスザノ、モジの文化活動の活発さをほうふつとさせ、寄 ...

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