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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(10)

「サンパウロでアナが住んでいたマンションのサーラ(居間)の方が、このアパートより広いね」 そのアパートは狭いだけではなかった。畳はささくれ立っている上に、カーテンのない窓から差し込む直射日光を受けて変色している。壁は薄汚く、台所のコンロと換気扇には油と埃がこびり付いている。玄関脇にある水垢で汚れた和式トイレで用を足せば、アパート ...

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ニッケイ歌壇(506)=上妻博彦 選

  サンジョゼドスピンニャイス  梶田 きよ本当を「ほんま」というのは京都弁ただなつかしくホンマかなこれ『談論風発』覚えし頃はうれしくてやたら使いし談論風発死ぬことに悲しみ覚えることもない年はとってものんびり作歌青天が三日も続く一月の動くともなき雲見つめおり『文春』にて色鮮やかな花街道眺めてあれば日本恋し車での花見の愉しさ見てあ ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(9)

 リカルドとアナは、日本に到着するまで隣同士に座っていたが、はたから見るとその様子は、夫婦というより、たまたま乗り合わせた男女のようだった。【第5話】 日付変更線を越え、サンパウロを出発して3日目の夕方に成田空港に着いた。 リカルドとアナの「新婚夫婦」は、外国人向けの入国審査窓口の前にできた長蛇の列の最後尾に並んだ。リカルドと同 ...

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軽業師竹沢万次の謎を追う=サーカスに見る日伯交流史=第5回=サンパウロ市に文化をもたらしたサーカス

日本人軽業師が公演した旧サンジョゼ劇場は、19世紀の聖市における文化の中心。焼失する前の貴重な写真

 前節でエスタード紙1886(明治19)年9月4日付の「コンパニア・ジャポネーザが、サンジョゼ劇場で様々な演目を行う」と紹介した。このサンジョゼ劇場は現在、存在しない。 ヴェージャSP電子版(vejasp.abril.com.br/materia/o-teatro-sao-jose)によれば、同劇場は1864年にラルゴ・サンゴン ...

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軽業師竹沢万次の謎を追う=サーカスに見る日伯交流史=第1回=明治3年頃に上陸、全伯公演?

ブラジルの竹沢万次と同時期、日本に有名な竹沢万“治”がいた。1868年5月の興行時、竹澤萬治の曲独楽の絵ビラ(見世物興行年表サイトより。≪木版墨摺・芳春画・本清板≫(大阪府中之島図書館蔵/「摂陽観場画譜」五十九)

 国交を開いた「日伯通商修好航海条約」(1895年)が調印される遥か前から、ブラジルに住んでいた日本人が何人かいた。いわゆる「農業移民」ではない。当地初とおぼしき「日本人自由渡航者」に軽業師「竹沢万次」がいる。なんと1870年頃に自らサーカス一座を率いて、リオからアマゾナスや南大河州、さらに南のウルグアイやアルゼンチンまで巡業し ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(5)

「何かの書類?」「ペドロという男の子の出生証明書のコピーです。サンパウロ市の公証役場が発行していますが、オリジナルはどこにあるか分かりません。この子は、3年前にサンパウロ市内の病院で生まれています。母親の欄には『Calorina Santos』という名前がタイプされていて、その下に母親自身のサインと身分証明書の番号が登録されてい ...

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4年越し、路面電車が到着=長崎市からサントス市へ=伝統芸能「龍踊り」の龍体も

寄贈された電車と龍体

 4年越しの念願がついに実現――長崎市が姉妹提携先のサントス市へ寄贈を約束していた路面電車と、民俗芸能「龍踊り(じゃおどり)」の龍体が、1月24日にサントス港に到着し、この2日にサントス市の路面電車発着所前でお披露目された。長崎県人会の栗崎邦彦会長、サントス市のパウロ・バルボーザ市長、中井貞夫市議、ルイス・ギマランイス観光局長、 ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(3)

 【第2話】 9月最後の日曜日、ある日系人が、事前のアポもなく事務所に現れた。 彼のように外国から出稼ぎに来ている連中の多くは、日曜日しか時間がとれないようだ。私は、毎日が日曜日のような生活をしているので、いつ客が来ても迷惑しないし、むしろ一人暮らしの寂しさを紛らわせてくれるので嬉しい。 短髪でまじめそうな顔をしたその男は、リカ ...

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ニッケイ歌壇(505)=上妻博彦 選

サンパウロ  坂上美代栄

札束を吐き出すパイプ写されし汚職まみれのペトロブラスよ
大物に小者絡まりあばかれしあちらこちらに火の粉が散れる
汚職の根掘ればどこまで行くのやらニュース聞くのもほとほと厭きる

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チエテ移住地の思い出=藤田 朝壽=(11)

 常日頃欲しいと思っていた本がある。 「万葉集評釈 江戸時代和歌評釈」「子規・節・左千夫の文学」佐々木信綱の「豊旗雲」谷崎潤一郎の「文章読本」「朗吟名詩選」福沢諭吉の「人生読本」バルザックの「この心の誇り」選んだ本を千代吉さんに持って行く。彼は品次君と吉川君が選んだ本を手帳に記入しながら恵比須顔である。 珍しい本では山鹿素行の「 ...

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