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越境する日本文化 カラオケ(9)=人気を呼ぶビデオケ=誕生祝いや結婚式にも

2月28日(金)

 ブラジルで人気を呼んでいるのは、ビデオケだ。バール、レストランなどで、ブラジル人が、がなる姿をちょくちょく目にする。誕生日や結婚式といった祝い事にも、ビデオケが用意されることが多い。
 非日系で六十代のある女性は、「本当に好き。娘達にも買い与えた。フェスタには親戚や友人を家に呼んで、楽しんでいる」と、話す。
 音質自体は、薄っぺらく音楽に幅がない。が、ポルトガル語をはじめイタリア、スペイン語など世界各国の曲を網羅。移民社会ブラジルの需要を満たす。
 実は、韓国製。カラオケブームの起こった八〇年代に開発された。言わば、カラオケの海賊版のようなもの。イメージ画像を背景に、ローマ字で歌詞が流れる。
 「cartucho」と呼ばれるメモリーチップを機器に差し込み、音楽を再生する仕組みだ。メモリーチップは手のひらに乗るサイズで、およそ五百曲が内蔵されている。差し込み口は十カ所以上あるので、全部、装備すれば一度に、五千曲は楽しめる。
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 オ・エスタード紙の報道によると、ビデオケは九五年、韓国系繊維業者によって三百台がブラジルに持ち込まれた。オリジナル製品は日本、韓国の曲しか無く、ブラジル音楽出版協会に百万ドルを支払い、二百曲の使用許可を得た。
 輸入業者は最初の商品をさばくのに、二年を要した。大型チェーン店などで販売されるようになり、九八、九九年、爆発的に実績が伸長。二〇〇〇、〇一年には、四万台を売り上げ、「cartucho」などを含めると、総額三億レアルの利益をもたらした。
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 レンタル、販売店の「Videoke Liberdade」(ブルーノ・トクダ店長)は、サンパウロ市リベルダーデ区ガルボン・ブエノ街に開店して、今年四年目を迎える。
 トクダ店長は、「日系コロニアのカラオケ熱に目をつけた」と、立地条件を語る。狙いはずばり、当たった。年々、入会者は増加。「今は、一万人の会員がいる」と誇らしげだ。
 バー、ホテルの経営者から一般市民まで、客層はさまざまだ。やはり、東洋街ということもあり、日系人の顧客がほとんどだという。
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 ビデオケ機器は百%輸入に頼っていた。ブラジル通貨レアルの下落によって、価格が高騰した。そのため、昨年より、自由貿易港マナウス(AM)で生産が開始された。
 本体部品のうち、四割を国産品、六割を輸入品とし、マナウスで組み立てる。ただ、技術者がいないという理由で、メモリーチップの生産はブラジルで、行われない。
 この結果、本体価格(VMP-7000)は八百九十九レアルから七百六十九レアルに、一五%、落ちた。より、一般市民の手に届きやすくなった。
(古杉征己記者)

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