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サンミゲル・パウリスタ=州立老人福祉センターを見る=援協の施設長ら勉強=充実したサービスに驚き=だれでも利用できる

2005年8月12日(金)

 サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)は十二日、サンミゲル・パウリスタ区の州立老人福祉センターを視察した。州の福祉事業をみることで、傘下施設の運営に役立てようと企画された。施設長らは社会福祉士などに説明を受けながら、活動内容を見学した。同センターは六十歳以上を対象にしたもの。老人関係の専門医や社会福祉士、薬局などをそろえ、取り扱いはすべて無料。医師や心理士、栄養士などで構成されるチームにより、在宅訪問も実施している。
 サンミゲル・パウリスタは人口が密集している地区。ほかの地区に比べて高齢化が早く進んだ。故マリオ・コーヴァス知事時代の九九年に、老人福祉センター建設構想が計画された。〇一年九月三十日に竣工し、最初のテストケースになった。
 州はサンパウロ市内の東西南北に一カ所ずつ、老人福祉センターを発足させる考え。ゾナ・ノルテのマンダキ複合医療施設(五千平方メートル)内にも今年二月オープンした。
 サンミゲル・パウリスタの老人福祉センターは四階建て。心臓、血管、整形など十六人の専門医がいる。地方の保健所などで、精密検査が必要だと診断された患者を無料で受け付けることが可能。内視鏡、レントゲン、X線、超音波などの検査科目がある。
 直属の入居施設は、所持していない。通所不可能なお年寄りに対して、チームを組んで自宅を訪問している。レジナ・ナシメントスさん(心理士)は「患者に合わせて編成も異なるし、家族の指導も重要なんです」と説明。サーヴィスの質を誇る。
 近くの日本人会と協力して、流行性感冒の予防接種も実施。七十人くらいが、参加している。
 薬局を設置して医薬品の無料配布をしているのも、特長だ。薬局利用者の多くは四種類以上の医薬品を服用しており、シールを張り分けるなどして誤飲を防いでいる。
 サンミゲルには、北東伯の内国移民が多い。文盲で処方箋を読めない人が少なくなく、ポウパ・テンポなど行政手続きも代行してもらえる。
 「弱い立場にある高齢者を社会に統合していくのが、大きな狙いだ」とナシメントさん。このほか識字、ヨガ、ダンス、バイレ、絵画など様々な教室があり、どこの地区に居住している人でも参加可能だ。
 この日の午後、バイレが企画されていた。男性が美容サロンで、マニュキアをしてもらっていた。ゾナ・レステとゾナ・ノルテ合わせて、二〇〇四年に二十四万二千件を扱い、そのうち十七万二千件が医療関係だった。取り扱い件数は年々、増加している。
 視察に参加した斉藤伸一サントス厚生ホーム長は「こんな大きな福祉センターがあるのに驚いた。医者などのチームが在宅を訪問。きめ細かいサーヴィスを、提供しているのが印象に残った」と感想を語った。
 所在地(サンミゲル・パウリスタ)は、Praca Padre Aleixo Monteiro Mfro 34。問い合わせ電話番号=11・3066・8000。

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