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泣く子とサッカーには勝てない?=移民の日=行事前倒しを検討=ドイツW杯の影響で

2006年5月10日(水)

 サッカーVS移民の日の軍配は―――?サンパウロで毎年六月十八日に行われている移民の日関連行事が、同日予定のワールドカップの影響で前日への前倒しが検討されている。伝統として週日でも十八日に行われてきたサンパウロの移民の日だが、「現実問題として、サッカーの試合があれば色々影響がでますから・・」と関係者は話している。
 「泣く子とサッカーには勝てんよ」と笑うのは、ブラジル日本都道府県人会連合会の網野弥太郎顧問だ。
 一九〇八年、最初の日本移民を乗せた笠戸丸がサントスに入港した日を記念して、サンパウロでは毎年六月十八日を「移民の日」として、先亡者を追悼、日系社会の繁栄を祈ってきた。
 サン・ゴンサーロ教会でのミサに続き、イビラプエラ公園日本移民先没者慰霊碑、午後に文協大講堂での法要が例年の定例行事となっている。それが今年初めて、前日十七日に前倒しされる方向で話が進んでいるという。
 というのも、ドイツで開催されるサッカーワールドカップ一次リーグのブラジル対オーストラリア戦が十八日午前十時、日本対クロアチア戦が同日午後四時に行われるため、参加者数の減少が懸念されるからだ。
 一世を中心に、例年法要に足を運ぶ参加者も、高齢化が目立ってきている。文協関係者は「子供さんに車で連れて来てもらう人が多いですから」と説明、試合の影響でバスなどの交通機関に支障が出る可能性も指摘する。
 法要などでの式事を取り仕切る仏教連合会から相談を受けた文協は、先没者慰霊碑での法要を主催する県連にも連絡。県連は今月四日に行われた代表者会議で、十七日への変更をすでに承認している。
 仏教連合会関係者は、「五月末の会合で決まると思います」と話し、「あくまで県連や文協からの依頼で法要は行う」と会の立場を強調した。
 山内淳文協会長の時代に新年祝賀会を元日でなく他の日に行ったことから、一世から顰蹙(ひんしゅく)を買ったことを引き合いに出しながら、「初めてのことだろうね。そりゃあ、こだわりはあるんだけど・・サッカーじゃ現実問題難しい」と網野氏。
 ローランジャ市パラナ移住センターで毎年開かれているパラナ州開拓者先没者慰霊祭も十七日に執り行われることが一月の定期総会ですでに決まっている。
 リーガ・アリアンサの西森ルイス会長によれば、パラナでは六月十八日のある週の日曜日に法要を行なうことが通例となっていたが、やはりサッカーの関係で土曜日になったという。「やっぱり、家族や友達と家で一緒に見たい人もいるんじゃないでしょうか」。

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