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「やっぱり本物」=サンパウロ市=本場でサンバ合宿=日本から9人〝修行〟に

2006年10月27日付け

 本場ブラジルでサンバ修行――浅草サンバパレード、大泉祭り、神戸祭りなど日本各地で広がりを見せているブラジルの代名詞〃サンバ〃。そのサンバの魅力にはまった九人の日本人が、カーニバルでもないこの時期に来伯し、サンバの特別練習を積んだ。コーディネーター役を務めた翁長巳酉(おなが・みどり)さんは「これは本格的な合宿。とことんやりたい人のためのツアー」と〃サンバ漬け〃の日程を説明、百周年を契機に十年間ぐらいの長期的な交流事業にしたいとの展望を語った。
 四日間にわたる特訓の会場となったのは、サンパウロ市内にあるスペシャル・グループのサンバ学校「カミザ・ヴェルジ・ブランコ」。
 「この手を見てください」。このため会社を辞めて貯金して参加した金子大介さん(26)に成果を問うと、血豆だらけの手のひらを見せ、にっこり微笑んだ。「痛いのを忘れてスルド(大太鼓)を叩いてしまった」という。
 「カーニバルの時期に来ても『見るのがやっと』だったり、言葉ができなければ教えてもらうきっかけが、なかなかつかめない」。今回サンバ合宿が企画された背景を、翁長さんはそう説明する。
 「サンバが好きな人が集まって、とことんやることで見えてくるものがある。音や動きや、ブラジル人との違いも」。エスコーラと連絡をつけ、合宿参加者のためだけに指導員を手配し、特訓を実現した。
 二〇〇〇年から始めたという木村高子さん(34)は「いいな、と思って買ったのがサンバ音楽だった」と出会いを話す。仕事をする傍ら、ダンサーとして教室で練習をしてきた。
 佐藤尚恵さん(35)は「人と違う音楽を踊りたかった。テレビでカーニバルを見て、これだっと思った」。七年間の経験者だ。
 来伯した九人中、六人は打楽器隊バテリアを専門としている。仙台のサンバクラブに所属する矢崎知子さん(36)は十年間、カイシャを中心にバテリアをしてきた。バイアやレシフェのカーニバルにも足を運んだことがある。
 一行は、二十二日に開催された第四回エスコーラ巡り「ジャポネスもサンバ」(ブンバ編集室主催、サンパウロ市観光局、中小企業支援事業団、ブルーツリーホテル協力)にも参加。新作の衣装や、会館を訪れた後、カミザ・ヴェルジ・ブランコの練習で合宿の成果を披露した。
 四百人を超えるブラジル人サンビスタが見つめる中、助っ人を加えた十人のバテリアが音楽を打ち鳴らし、日本人三人のダンサーがサンバを踊る。
 佐藤さんは「恥ずかしさもあったけど、このために来たんだし、踊れてよかった」と満面の笑み。会場からは大きな拍手をもらい、その後もチームのメンバーと踊る三人の姿が見られた。
 片岡咲子さんは「やっぱり本物という気がする。(技術的に)追いつかないかもしれないけど、彼らがカッコいいと思うからまねたい。自分もできるようになりたいと思った」と熱意を新たにしたようだ。
 「〇八年をきっかけに(合宿を)十年くらい続けていきたい。サンパウロ市の観光局からの協力もとって、エスコーラにしてもただの金儲けで終わらない関係を作っていけるような、そんなものにしていきたい」と翁長さん。サンバでも日伯交流が深まりつつある。