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アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から連載(6)=伝説的大蛇、信じられるか?=残されている〃実在〃証拠写真

ニッケイ新聞 2007年9月19日付け

 ◇蛇の話(3)
 話のついでだが、私たちが着伯する一年くらい前、アマゾン河のもっと上流にあるタバチンガという所(国境の要衝で要塞があり、軍隊が駐屯している)で、大蛇が水から出て陸に上がってきた。これは、スクリーあるいはスクリジューといって、アマゾン産の大蛇である。要塞の兵士が機関銃で殺したということだが、その写真がオ・クルゼイロ誌に載っていたそうだ。
 それによると、死んで横になっている蛇の前に兵隊が銃を持って立っているが、死んだ蛇の高さが兵隊の肩の高さであり、長さは四十数メートルにおよぶ超大物。その写真を撮った軍曹は、まだマナウス市に住んでいるということである。辺境警備隊のあるオヤポック(仏領ギアナとの国境になる)で、私の息子が大学を終えてから、約一年間、義務兵役で薬剤官として勤務していたとき、当該大蛇について問い合わせたところ、その軍曹の消息について知らせてくれたものだ。
 こんなのに比べたら、私の(体験した)大蛇などみみずみたいなものである。
 ほかにも、現在生きていて、何人もの目撃者がいるタパジョース川(アマゾン河南岸の支流。サンタレンの近くでアマゾン河に合流する)の大蛇の話がある。私の店(始めは薬局でなく、雑貨商だった)に、対岸のサンタレン市から商品の注文を受けて買ってきてくれる、担ぎ屋みたいな男がいた。名をコズモといって、至って正直で、嘘を言わない男である。
 この男が、何年か前にコンパードレと一緒に狩に行ったことがあった。いつもはよく見かける鹿や猿、クチーア(鼠族で大きな猫ほどある)などが、一匹も見当たらぬ。すると、なんとなくザワついた気配が近づいてくる。
 そのうちに、バリバリ、バサバサと木や草が押し倒される音になってくる。「コブラ・グランジだ」と叫ぶと、二人はすばやく近くの大木の蔭に隠れた。音はますます近くなって、ちょうど二人が左右に分かれて、隠れている中間を途方もなくでかい奴が通って行った。
 こわごわ向こう側を見ると、向こう側にいるはずのコンパードレの姿が見えない。大体コズモは小さい男で、一メートル五〇センチそこそこである。それにへっぴり腰をしているので目線はあまり高くない。それでも向こう側にいるコンパードレが見えないのだから、どんなに割引しても、直径一メートル以上あったのだ。同じ蛇だと思うが、ほかに目撃者が多数いる。
 奥地にいたときのことだ。少し離れた所にカンブランという部落があり、若い者がたくさんタパジョース川のガリンポ(採金場)に金を採りに行ったことがある。サンタレンから船でタパジョース川を遡るのであるが、その途中で大きな蛇が船の横を通って行ったのだ。頭はドラム缶より大きく、長さは約二十メートルある船よりずっと長く、ヒョイと出てきた尻尾が石油缶(一斗缶)に入りきれぬほどの太さであった由。
 もちろん、くねっていて、その長さだから、引き伸ばせば大変な長さになる。血気盛んな若者たちが多数同船していて、ほとんどが武装していたのだが、銃口を向ける勇気のある者がなかった由である。間違って船でも沈められたら、カナヅチの者も多いし、それに岸まで強い流れの中で、何キロも泳がなければならないからである。
 大体こんなに大きい蛇だったら、尻尾の一撃で、二十メートル程度の船など簡単にぶち壊すことができるからである。まぁこんな奴もアマゾンにはいるということである。つづく
(坂口成夫、アレンケール在住)



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