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アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(33 終)=種類、数量ともに多い蜘蛛(くも)=〃蟹くも〃大きいのは18センチにも

ニッケイ新聞 2008年3月14日付け

◇昆虫の話(5)    
 双翅類
 蚊は、俗にカラパナとモロソカに分かれる。カラパナの中にチグレ・アジアチカ(アジアの虎)といわれる藪蚊がおり、デング熱を媒介するので知られている。
 モロソカは割合小型で、体型は細い。アノフェレス(ハマダラカ)といわれる種類は、マラリアを媒介する。螫(さ)されたときは、カラパナより痛みがある。好んで清水に棲む。密林を流れる川は、たいていこれである。アマゾン本流のような濁流を好まない。
 それで、小川の多い内陸部のほうがマラリアの危険が高い。尤も、本流近くでも、湿地帯で割合水が澄んでいるところはマラリアがある。
 蚤(のみ)も世界中同じであるが、異なるのはビッショ・デ・ペー(ビッショは虫、ペーは足)、あるいはビッショ・デ・カッショーロ(犬)。
 犬に多い。しかし、人にもたかる。足や趾の皮下に入り込んで産卵する。痛痒いのですぐ発見される。針で掘り出して、ヨーチンなどを塗っておく。乾燥すると繁殖が激しいので、土間の家などでは、一日のうちに何度も水を撒いて、土間に常に湿気があるようにすると、これの発生が防げる。
 それで、無人の家に入ると、土間に一歩踏み込むと同時に、ピョンピョン飛びつかれて、あわてて逃げ出すことになる。
 蜘蛛(くも)類
 これも種類、数量ともに多いが、主なものを拾うと――
 アラニャ・カランゲジェイラ。カランゲージョは蟹であり、ちょっと蟹を連想させる形をしている。大きいのは直径十七~十八センチ(普通の状態でその周囲に円を描いた直径)以上になるものもある。
 咬まれれば疼痛激しく、時には目が見えなくなることもある。その上、その毛は皮膚につけば、激しい痒みを起こす。咬傷には血清注射を用いるが、草根木皮を用いた薬も有効である。
 アラニャ・マカコ。マカコは猿のことで、少し小型。毛もほとんどないが、アラニャ・カランゲジェイラよりもさらに攻撃的である。堆積した椰子の枯葉の下や木の股や大きな割れ目にひそんでいる。
 蠍(さそり)類
 エスコルピオンあるいはラクラウという。黒くて、大きいのは十センチを超すが、茶褐色のものはもっと小さくて五~八センチ、灰色のものはさらに小さくて三センチくらいである。
 ともに咬まれれば痛みは激しく、二十四時間におよび、翌日も痺(しび)れが残る。黒くて大きいのにやられたら、命を失うこともある。血清注射か過マンガン酸カリの注射によって、難を免れる。草根木皮で作った薬も有効である。

 多足類
 百足虫(むかで)。セントス・ペーという。大は五十センチから小は一センチ、大小種々である。咬みつくのも日本と同様。
 ヤスデもたくさんいる。特に湿地に多い。誤って口に入れると、三日くらい口が腫れる。おわり (坂口成夫、アレンケール在住)



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