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アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(26)=入植直後カマリオンに遭遇=敏捷、鎌で仕留められず

ニッケイ新聞 2008年2月15日付け

◇鳥の話(4)
燕雀類
 燕はアンドリーニャ。日本の燕と同じく時期により夥しく集まり、どこへともなく去って行く。雀と少し違うようだが、チコチコというのが型も習性もよく似ている。
 ベン・チ・ヴィはその鳴き声からきたもので、百舌科、虫類をよく食べる。
 パパ・フォルミーガ。パパは食べる、フォルミーガは蟻の意で、蟻喰い鳥とでも訳すべきか。蟻や白蟻、小虫をよく食べる。この種類でウィラ・プルーというのは、その鳴き声が美しいので知られる。
 アリラムバは、大小何種類かあり、魚を食べる。
 蜂鳥はベイジャフロール(花に接吻するの意)と呼ばれ、たくさん種類があり、ともに色彩美麗である。
 蜂鳥のゆるゝ尾羽根に花 房もかすかにゆるゝ朝の 静けさ
 
 変ったのではジュアン・デ・バーロ(バーロは泥の意、ジュアンは普遍的な人名)。ペドレイロ(左官)とも呼ばれ、木の枝の上に泥をこねて巣をつくる。
 もう一つは、ヂャピン。これに似て少し小さいヂャプーと呼ばれる小鳥は蔓や細長いものを編んで、長い袋状の巣をつくる。一本の木に何本もの巣がぶら下がっているのは奇観である。
 色彩の美しいものには、ガーロ・ダ・セーラ(深山の雄鶏)。体自体も美しいが、美しい冠毛を持っている。パヴォン・ド・マット(森の孔雀)もまた色彩の美しい鳥である。
 カナリオ・ナシオナルは、カナリヤの野生種で、雀のようにたくさんいて、人家にも巣をつくったりする。雌はくすんだ緑色をしているが、雄は美しい黄色や橙色である。どちらか知らないが、朝、美しい声音で鳴く。
 隣り家のタマリンディラ に住みつきて花かとまが ふカナリヤの群

 タマリンディラは荳科の大木で、その莢は軟らかく、種子の周囲は甘味がかった酸味を帯びた果肉で包まれていて、よく子供達がしゃぶっている。
 囀音が美しいので知られるのにサビアーやタンガラーがある。
 
 爬虫類の話(1)
 鰐魚類(トカゲ科)
 鰐に関しては先に述べたので省略する。
 トカゲの類には、ジャクラルー(大とかげ)のように、体長一メートル半に達するものもあるが、大体は一メートルそこそこである。赤黒くテラテラと光っていて、巣篭もっている鶏を襲って卵を食べたりする。銃撃や犬を使って捕らえたりする。肉は美味である。
 〔カマリオン〕
 カメレオンともいう。またの名をパパ・ヴェント(風喰いの意)。これは敵を威嚇するのに、口を開けて首筋のところをふくらますのでその名がある。
 イグアナとも呼ぶ、体長二メートルを越すものもあるが、大体は一メートルそこそこである。初めてこれを見たのは、ジュートを刈っていたとき、腰まで水があるその中で、半ば水中に倒れこんでいる大木の上にいた。
 アマゾンに着いて何日も経っていない頃の話である。二メートル以上のもので、背中のギザギザを逆立てて首筋をふくらませているところは、ややこしくて名前は覚えきれないので、勝手に「なんとかザウルス」という名前をつけた旧世代の恐竜の一つによく似ている。
 一緒に働いていた弟は、「こいつ喰いつかないのか」と怖気を振って近寄らない。私は以前少しばかりアマゾンのことを勉強していたので「ははあ、これがカマリオンという奴か」と思い、そうならば「なんとかザウルス」君、葉っぱばかり食っている奴だから恐るるに足らぬ。あわよくば鎌をブチ込んで仕留めてやろうと、なお近寄っていったが、後もう少しというところで、いきなり走り出して水の中にざんぶり。もういけない。水は濁っていて皆目行方がわからぬ。とうとう取り逃がしてしまった。その上、急激な動きをしたために、ポラケー(電気鰻)にぶつかって、ショックで飛び上がるおまけまでついた。
 これの肉もジャクラルーほどではないが、結構美味である。つづく(坂口成夫、アレンケール在住)。



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