fbpx
ホーム | 連載 | 2008年 | アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から | アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(30)=胡麻植えサウーバ退治=雨季、増水で流される〃火の蟻〃

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(30)=胡麻植えサウーバ退治=雨季、増水で流される〃火の蟻〃

ニッケイ新聞 2008年3月8日付け

◇昆虫の話(2)
脈翅類
 蜻蛉。リベルーラあるいはジャシナと呼ばれる。鬼ヤンマ級から赤トンボ、オハグロトンボに糸トンボなどなど多々ある。
 白蟻。クピンと呼ばれる。木造建築物や家財道具に大害を与える。森の中では、木の幹や股のところに大きな巣を作る。所によっては、地上に構築した泥の塔の巣を作り、これがニョキニョキと一面に生えている所もある。タマンドゥアの大好物であり、鋭い爪で引っ掻いて巣を崩してはクピンを片端から舐め取ってしまう。

膜翅類
 蟻がその代表である。
〔サウーバ〕
 ブラジル農業の大敵である。夜、懐中電灯を持って畑の周囲を調べると、所々に大きな蟻の行列に出遭う。蟻は五ミリから一・五センチにおよぶものもあるが、てんでに葉の一片を担いでいるようであり、これが幅十センチくらいから一メートルくらいの幅で延々と続いている。ずっとつけて行くと、畑から三十~五十メートルくらいの位置で、森の中や再生林の中に巣がある。
 巣は、長径五メートル、大きいのは十メートル以上。深さは三メートルくらいで群棲している。統制のとれた行動をしていて、取り集めた木の葉や草の葉を噛んでは積み上げる。すると発酵を起して白灰色の菌体様のものになる。これがサウーバの食糧となる。
 これを利用して畑の周囲に胡麻を植える。するとサウーバは胡麻の葉をせっせと摘んでは運び、巣に積み上げる。するとこれが発酵するとき、有毒ガスが発生して巣にいるサウーバを死滅させる。
 そのため、畑の周囲に胡麻を植えることは、サウーバの害を少なくし、且つ残った胡麻を収穫して食用とする。胡麻の炒ったものをファリンニャ(マンジョカの粉でインジオの主食である)と砂糖を混ぜて搗いたのは、パソッカといって、子どもたちのおやつになる。
 大人にも頭皮の血流をよくして、脱毛を防ぐ効果があり、ビタミンEに富んでいるので、肉食多いために、ともすれば過剰になるコレステロールの除去にも役立つ。
〔カリエイロ〕
 サウーバと大同小異であるが、一群の蟻数が少なく、且つ巣を作るのにも浅いので退治が楽である。
〔フォルミーガ・デ・フォゴ〕
 訳して火の蟻という。喰い付いて、且つ尾端の毒針で螫(さ)すので始末が悪い。ちょうど火に焼かれるような痛さがあるため、その名がある。低湿地にいるものが型も大きく、痛みも強い。高い所に棲むものはその反対である。
 雨季に水がどんどん増えて来るので、地中にいられず、草や木に這い登る。それでもどんどん増えてきて、上へ上へと追い詰められて、終には蟻の固まりとなって、水の上に出た木の先っぽにしがみついている。
 それでも水が増えてくるくると、大きな蟻の固まりがポカリポカリと水に浮いて流されてくる。これがぶつかった所にしがみついては棲み着き、また流される。うっかりこれに触ったら大変。たちまち無数の蟻が這い上がって咬み付き、螫(さ)しまわる。酷い痛みと痒みに閉口することしばしばである。
 着伯当時、これや蚊にやられて全身ブツブツだらけ、酷い所に着たもんだとげっそりしたこともある。しかし、慣れると免疫ができるのか、さほどでもなくなる。
 イムバウーバという木に共生しているのは、もっと小型である。これを伐るとゾロゾロと出てきて人を螫(さ)す。
 雨季に白い花をつけるタシーゼイロも同様蟻と共生している。これはフォルミーガ・デ・タシーといって、フォルミーガ・デ・フォゴの倍くらい。行動敏速で下手にこの木を伐るとひどい目に遭う。 つづく (坂口成夫、アレンケール在住)



アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(1)=獰猛なジャカレー・アッスー=抱いている卵を騙し取る猿

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(2)=示現流の右上段の構えから=ジャカレーの首の付け根へ…

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(3)=ジャカレーに舌はあるか?=火事のとき見せる〃母性愛〃

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(4)=スルククー(蛇)は〃強壮剤〃=あっさり捕らえ窯で焼き保存

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(5)=4メートル余りの蛇退治=農刀、下から斬り上げが効果的

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から連載(6)=伝説的大蛇、信じられるか?=残されている〃実在〃証拠写真

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(7)=両頭やミミズのような蛇も=インジオは怖がるが無害

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(8)=家畜連れ去る謎の牝牛=〝初〟アマゾン下りはスペイン人

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(9)=多彩なアマゾンの漁=ウナギ怖がるインジオ

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(10)=日本と異なる釣り風景=魚獲りに手製の爆弾?

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(11)=商品価値高いピラルクー=カンジルー、ピラニアより危険

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(12)=ジュート畑でショック!=馬をも飛ばすポラケー

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(13)=生殖の営み見せつけるイルカ=インジオは何故か怖がる

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(14)=聖週間の時期〃神が与える〃=魚の大群「捕らえよ」と

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(15)=柔和が裏目、哀しきジュゴン=漁師に習性知られ、あえなく…

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(16)=ミーリョ畑荒らす尾巻猿=群れの首領株仕留めて防御

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(17)=ケイシャーダ性質凶暴=遠雷にも地鳴りにも似る

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(18)=野性すべて備えた=南米産獣の王者=美麗な毛皮のオンサ

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(19)=カザメント・デ・ラポーザ=ここにもこの言葉「狐の嫁入り」

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(20)=狩猟で得られる肉の中で最高=パッカ、胆汁は血清のよう

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(21)=吸血蝙蝠、互いに毛を舐め合う習性=毒塗って放し、舐め合わせ駆除

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(22)=動作緩慢、泳ぐ「なまけもの」=アマゾン河横断の記録も

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(23)=「黒装束の曲者」ウルブー=保護鳥、「功」が「罪」より多い

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(24)=群鳥を圧するかのように=猛々しく鳴くアララの雌雄

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(25)=早朝、カノアを漕いで鴨猟に=まるで奇襲を試みる緊張感

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(26)=入植直後カマリオンに遭遇=敏捷、鎌で仕留められず

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(27)=飼われて家に居つく亀=猛毒、身を捨てて毒蛇を殺す

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(28)=体が美しくて猛毒の蛙=解毒にはインジオの薬

アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から=連載(29)=昆虫に対する知識は不可欠=一朝で収穫や命を失う恐れ

image_print

こちらの記事もどうぞ