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二天古武道研究所の2008年=百周年記念して多彩な行事=ア国、第2回南米大会も盛況に

ニッケイ新聞 2008年12月23日付け

 二天古武道研究所(岸川ジョージ主宰)による「第二回南米古武道合宿」が去る十一月十四日から十六日まで、アルゼンチンのブエノス・アイレス市で開催された。
 アルゼンチン、チリのほか、ブラジルから岸川主宰ほかサンパウロ、リオ、カンピーナス、ポルト・アレグレの各道場から十一人が参加。剣術や居合術の稽古に励んだ。
 期間中には「第二回南米古武道・剣術大会」も併せて開催され、生徒たちは居合術、杖術、剣術、古武道などの部門で競い合った。
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 剣豪・宮本武蔵によって完成された「兵法二天一流」の第十代師範である岸川ジョージさん(45)が主宰する二天古武道研究所。十五年ほど前、スポーツ医学を学んでいた岸川さんが大学の友人たちとサンパウロ市のイタイン道場でセミナーを始めたのがきっかけだという。
 元々は剣道をしていた岸川さんだったが、セミナーを続けるうちに生徒が増えてきたことから同研究所に専念するようになった。現在は、室町時代に創始された武術「天真正伝香取神道流」の南米での指導者の許可も持つ。
 当初は合宿、セミナーだけで、大会は行なっていなかったという。その理由を岸川さんは「大会は一人だけが勝つもの。皆との交流やふれあいを中心に稽古すべきだと思った」と話す。今は年に三回、各地で合宿を行なっている。
 生徒の増加に伴って若者や子どもたちの参加も増えてきたことから、年に一度ずつ、個人と団体の大会を開催するようになった。全伯大会は今年で七回目。アマゾナス州から南リオ・グランデ州まで全伯約四十カ所の道場に六百人の生徒を数えるほどに成長した。
 現在は全伯古武道連盟の会長。剣道、剣術、居合術、杖術、薙刀、鎖鎌など指導する武術は幅広いが、技術だけでなく、日本の文化や伝統、礼儀作法を伝えたいと力を込める。
 日本移民百周年の今年は、サントス、サンパウロ市、リオなど各地で記念のデモンストレーションを実施。十一月末にはサンジョゼ・ドス・カンポス市のスポーツイベント「ヴィラーダ・エスポルチーバ」の一環として同市の道場で合宿を行ない、三日間で二百人が参加したという。
 今月十五日、同研究所は南マット・グロッソ州議会(カンポ・グランデ)で、大坪アキラ州議から顕彰プレート「ディプロマ・カサトマル」を受けた。岸川さんは今年一年の記念行事を振り返り、「移民の皆さんのおかげで、私たち子孫が活躍できる。心から感謝申し上げたい」と語った。
 同研究所は来年、日本の国士舘大学剣道部から十七人の使節団を迎える。四月二十四日の「侍の日」を中心にサンパウロ市、リオ、ブラジリア、ブエノス・アイレスなど各地でセミナーなどを行なう予定だという。

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