ホーム | 日系社会ニュース | アマゾニア援協=移民の命を支えて半世紀=300人で節目の年祝う=神内良一病棟も完成間近=「市内最良病院」目指し
新病棟の落成式(右端が八十島会長)
新病棟の落成式(右端が八十島会長)

アマゾニア援協=移民の命を支えて半世紀=300人で節目の年祝う=神内良一病棟も完成間近=「市内最良病院」目指し

 パラー州都ベレンの「アマゾニア日伯援護協会」(八十島譲エジソン会長、会員数約750人、以下「援協」)が創立50周年を記念し、先月31日に汎アマゾニア日伯協会神内講堂で記念式典を開いた。1965年1月、日本語での医療を求める移民の切実な願いから「アマゾニア日本人移民援護協会」として発足、パラー州を中心としたアマゾニア全地域を対象に福祉と医療事業を展開する。同協会が運営するアマゾニア病院第3病棟も一時中断していた工事が再開、一足早い落成式も併催された。同市やその近郊、サンパウロ市から約300人が出席し、節目の年を祝った。

 アマゾニア病院は62年、汎アマゾニア日伯協会の一室で実費診療所として誕生した。65年に援協がその運営団体として発足し、同協会の敷地を買い取って病棟を増設して行った。現在は日・非日系を問わず、地域に密着した医療サービスを提供している。
 同病院のほかにもアナニンデウア市シダーデ・ノーヴァに厚生ホーム、トメアスー移住地に十字路病院も運営、サンタレンなど無医村地帯への奥地巡回診療も創立以来継続している。
 日本財団の寄付とブラジル国立経済社会発展銀行からの借入金で2001年に完工された第3病棟工事は、2階まで完成した段階で、資金不足の問題等で工事が中断していた。昨年5月に自己資金で工事を再開、4月の完工を目指すという。総工費は約1400万レアル。病棟は同理事長を顕彰し、神内良一病棟と命名された。
 式典に先立ち行われた落成式では、汎アマゾニア日伯協会会長で同病院の古参整形外科医の生田勇治氏が新病棟を案内、「病院で働く160人の医師の内、40人は日系人。患者はもう90%以上が非日系です」などと特色を紹介した。
 病棟は7階まであり、病室94床、手術室数8室、中央材料滅菌室・機械室、集中治療室を備える。最新医療機器も発注しており、新病棟の完成によりサービスは大きく改善するという。
 続く記念式典で、八十島会長(56、二世)は「工事は7割終わったので、4月にはフル稼動させたい」と意気込んだ。2012年から病院長を務める仁和ウィルソン病院長は、「今年はアマゾニア病院の歴史に残る年。工事中断で損なわれた、『市内最良病院の一つ』という評判を取り戻せると信じる」と期待を込めた。
 パラー日系商工会議所の山田フェルナンド会頭、生田会長、サンパウロ日伯援護協会の菊地義治会長、在ベレン日本国領事事務所の小林雅彦所長ら来賓も祝辞を述べた。神内理事長、日本財団の尾形武寿理事長の祝辞も代読された。
 仁和病院長、来賓、援協役員、医師、職員に功労賞が贈られ、鏡割りが行われると、創立時から同病院に医師として尽くしてきた伊東澄雄さんが「アマゾニア病院に務めて49年。こんなに時間が経ったなんて。健康と多くの仕事を神が与えてくれたことに感謝したい」と穏やかに語り、乾杯の音頭をとった。
 一同は和太鼓やサボーマラジョアラなど余興を楽しみながら、夕食に舌鼓を打ち、今後の末永い援協の繁栄を祈った。

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