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イタリア料理店の成功に倣って

パスタは家庭でもすっかりお馴染み

パスタは家庭でもすっかりお馴染み

 日本とは地理的に離れていながら絶大な人気を誇る料理といえば、イタリア料理だろう。全国津々浦々に専門店が偏在し、しかも大半が日本人経営だ。飲食店総数41万超に比してその数は約9千と必ずしも多くはないが、家庭料理にまで浸透し、本国からも高い質的評価を受けているというから驚く▼一方ブラジルでも、地理的には最も遠い日本の食が飲食業界で最有望市場の一つとされている。今は大都市や日本人集住地区を中心に3千軒と推定されているが、市場は右肩上がりと嬉しい状況だ。が、味の面ではどうか。店数に反比例という懸念はぬぐえない▼日本のイタリア料理店が本国からの移民がないにも関わらず、高水準に達したのはなぜだろうか。その歴史をひも解くと、元々日本でイタリア料理店を興したのは70年代、本場の料理に魅了された日本人らだった。そしてその20年後には早くも両国の相互協力で料理学校が創設され、毎年本場へ日本人コックが派遣される仕組みが出来た。日伊料理協会も誕生し、料理人育成と水準向上の基盤が出来上がった。それが、今の日本のイタリア料理文化を支えているようだ▼当地では80年代に興った日本食ブーム到来から30年弱が過ぎたが、それに匹敵する動きはあっただろうか。これだけ巨大な日系社会がありながら日本料理学校一つなく、組織だった活動もない。小規模のイベントは数々あるが、後に繋がる動きは見られない▼リオ五輪やW杯の相乗効果もあってか日本政府の目がブラジルに向き始め、ジャパンハウス構想も進んでいる。こうした流れを生かし、日伯一体となった日本食普及事業が生まれないものか。(阿)

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