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参加者全員での記念撮影
参加者全員での記念撮影

兵庫県人会=半世紀越え、今なお活発に=55周年の節目を祝う=母県から80人超迎えて

 ブラジル兵庫県人会(松下瞳マルリ会長)が創立55年を祝し、23日にサンパウロ市の北海道協会で記念式典を行なった。同会は1960年、外務課移住渡航係長が県民視察に南米訪れたのを機に発足。県費留学・技術研修員の選考と派遣、農業高校生の受け入れなど草の根交流を続けている。井戸敏三知事は4回目の来伯を果たし、「困難を乗り越え来りブラジルの大地に生きて絆55年」と自作の短歌を詠み、県民の苦労と貢献をねぎらった。母県から訪れた80人超の慶祝団とともに、約250人が会の発展と母県との交流継続を願った。


 兵庫とブラジルは移民を通して育んだ深い絆がある。移民が渡航前の時間を過ごした国立移民収容所は、09年から神戸市海外移住と文化の交流センターとして存続。今年姉妹提携45周年を迎えた兵庫―パラナ州、神戸―リオ、淡路―パラナグアなど、提携関係も6つと他県と比べても群を抜く。2年前には住友ゴムがパ州に工場を開所、兵庫海苔が伯国進出をもくろむなど、近年は経済交流も盛んだ。
 交流の一翼を担ってきたのは、23年前に創立した「日伯友好議員連盟」。節目ごとに議員団を派遣し、親睦を深めている。石川憲幸県議会議長は「17年も議員をやっているのに日程が合わず、今回初めて参加できた」と満面の笑顔。還暦を祝して県人会から贈られた赤いちゃんちゃんこと帽子を身につけ、昼食後はサンビスタとサンバでハッスルした。
 井戸知事はパラグアイや亜国など各地の県人会を精力的に訪問する過密スケジュールをこなした。式典では本紙の取材に対し、「半世紀を越える県人会の皆さんの活動に、心から敬意を表する。これからもブラジルの将来を支える活動を、先導を切ってやって頂きたい」と熱いエールを送った。
 天理教の海外要員として夫婦で来伯した建林としさん(83、神戸)=聖市在住=は、「ブラジルに来て55年。県人会と同じ年月ね。今まで日本人で嫌な思いしたことは一度もなかった」と半生を振り返り、「今日は表彰してもらえるなんて思ってもみなかった」と朗らかに笑った。
 神戸出身の両親を持つ田中美恵子さん(82、二世)は、「尾西さんが今までよく頑張ってくれた。これからも元気に会が続いていけばいい」と会の存続を願った。


研修OBが知事と懇談=「期間長くして」と要請

空手道場の様子を語る高松さん

空手道場の様子を語る高松さん

 式典後は元県費留学生・技術研修員が井戸知事、県議らと懇談会を開いた。それぞれ自己紹介で訪日体験を振り返ることで制度の意義を再確認、知事・議員は制度改善について意見聴取を行なった。
 式典で代表挨拶を行なった弓場さちえさんは昨年の技術研修員。神戸でエステ研修を受けた体験を振り返り、日伯の美容意識の違いを紹介。「日本のきめ細かいサービスなどを導入したい」と意気込みを語った。
 89年に神戸大学教育学部体育学科に留学した高松浩さんは、体育教師を経て、日本で習った空手を生業に。父親と運営する聖市の和道流空手道場には150人の生徒が通う。汎米チャンピオンも輩出したという。「大阪空手道連盟からは『ブラジル人初の4段』と言われた。今は7段」との一言に、慶祝団から歓声が上がった。
 82年の技術研修員の高田千恵子さんは、「1番良かったのは、社会を見る目が変わったこと。日本人の『自分の会社のために、上司が見ていなくてもしっかり頑張ろう』という真摯な気持ちが当時のブラジル人には殆どなく、ものの見方が変わった」と精神面での収穫を報告。他の研修生も賛同していた。
 自己紹介後は制度改善に向けた意見聴取会に移った。「留学・研修期間が1年や9カ月では物足りない」「留学生に実務研修もさせてほしい」「日本の家庭の様子を見たり体験したりする機会がほしい」などの意見が上がった。
 また、「日本での研修は就職に有利」という点は全研修生が認めるところで、議員からはそれを受けて「彼らのような人材を日本企業へもっと還元できないのか」と期待する声があった。


高齢者表彰 受賞者リスト

佐藤綸子、谷口勇、田中美恵子、斉藤益幸、藤本欣信、猪坂裕、森口忠義イナシオ、中田定和、植田いく子、若林和男、川上幸子、館林とし、矢内ちよ子、大谷絹江

 

友好の絆、若い世代へ=兵庫県知事 井戸敏三

井戸知事

井戸知事

 ブラジル兵庫県人会は1960年に創立されて以来、日系人社会の維持・発展のための親睦行事の開催、兵庫県へ海外技術研修員や日系留学生の派遣等、積極的な活動を展開されています。
 71年以来、県人会からの推薦等により、多くの海外技術研修員の受け入れを行ってきました。こうした日本での経験を持つ人たちがブラジルに戻り、兵庫県との友好の絆を強くしていただいていると思うと、心強い限りです。
 今回の交流では、将来有望な兵庫県の男子高校生の柔道選手達が、パラナ州の柔道選手と合同練習などをしています。来年のリオ五輪では、ぜひ日本とブラジルの選手達が、大活躍してくれることを期待しています。
 私は、05、08年、10年に続き今回で4回目のブラジル訪問となります。毎回、皆様の明るい笑顔から活力をいただいています。皆様が故郷を忘れずに様々な活躍をされていることはとても嬉しいことであり、若い世代へも引き継がれていくものであると思います。
 皆様には、これまでと同様、本県とブラジルとの交流にご理解とご協力を賜るようお願い申し上げます。(抜粋)

 

草の根交流、広がりを=県議会議長 石川憲幸

石川議長

石川議長

 ブラジルへの出発を前に、我々訪問団は、神戸市中央区の兵庫県庁近くにある「海外移住と文化の交流センター」を訪問いたしました。
 1928年に国立移民収容所として設置され、その後、神戸移住センターなどと名称を変えながら、全国から集まった移住希望者をブラジルへと送り出した施設であります。
 ブラジル移住の歴史、移住先への道のりや暮らしぶりを当時の映像や写真、パネルで触れ、当時、神戸からブラジルに渡り、ご苦労をされながらも確かな地位を築いてこられた先代の方々、皆様方の勇気とご努力にあらためて敬意を表する次第であります。
 私個人としましては、ブラジル訪問は初めてでありますが、これまでから議会訪問団が節目ごとにお伺いさせていただいており、訪れる人こそ変われども、県議会としましては、今後とも、兵庫県とブラジル両国の経済・文化・人的交流がより活発になり、互いに良きパートナーとして草の根交流が広がるよう、全力を傾けてまいる所存であります。(抜粋)

 

自分の経験、次世代に=ブラジル兵庫県人会会長 松下瞳マルリ

松下会長

松下会長

 母県より井戸敏三県知事、石川憲幸県議会議長、議員の皆様、三野哲司日伯協会理事長、県民交流団・秋武弘団長、環境訪問団・築谷尚嗣団長、多くの皆様をお迎えできましたことを厚く御礼申し上げます。
 なお、在サンパウロ日本国総領事館・中前隆弘総領事はじめ、日系議員の皆様、日系団体代表の皆様のご臨席いただきましたことを深く感謝申し上げます。
 私は1985年、海外研修生として県立尼崎病院で針灸の勉強をさせて頂きました。ブラジルから外国に行くのが難しかった時代に日本で研修できたことは私の人生の糧になりました。生花や書道を教わったことも楽しい思い出です。
 このような自分の経験から、これからの若者には広い視野で物事が考えられる人間になってほしいと思い、会長の仕事を引き受けました。新役員はこの考えに賛同した元留学生、元研修生たちです。その新役員が力を合わせ、今年の「日本祭り」では、ラーメン、手巻き寿司、ケーキをつくり、販売いたしました。
 先輩方の築いたブラジル兵庫県人会と母県の絆を大切にし、友好、親善の架け橋となれますよう、努力いたします。
 井戸知事様より表彰を受けられた高齢者の皆様に心よりお喜び申し上げます。長い間、兵庫県人会にご尽力いただきました尾西前会長に感謝申し上げるとともに、皆様の益々のご健勝とご多幸をお祈りします。

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