ホーム | 日系社会ニュース | 韓国文化院=「竹島は韓国の領土である」=パウリスタ大通りの施設で展示=楠首席領事「中止求めて抗議した」

韓国文化院=「竹島は韓国の領土である」=パウリスタ大通りの施設で展示=楠首席領事「中止求めて抗議した」

『独島(竹島の韓国名)は韓国の領土である』と記載されている展示

 今年の8月4日にサンパウロ市パウリスタ大通り(Av. Paulista, 460 – Bela Vista)に移設オープンした、韓国の現代文化を発信する政府広報施設『韓国文化院』。その2階にある図書館の入口左側に、『独島(竹島の韓国名)は韓国の領土である』という内容が展示されていることが、今月23日の本紙取材で明らかになった。在サンパウロ日本国総領事館の楠彰首席領事は本紙の電話取材に応じ、「既に抗議の手紙を出した」と回答している。

映像の下には『竹島は国際法に従って、歴史的にも、地理的にも、明らかに韓国の領土である』と書かれている

 竹島(独島)問題とは韓国と日本が領有権を主張している島の領土問題。日本の外務省のHP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/index.html )には、「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土」であり、「韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠」とある。
 竹島に関する同文化院の展示は、2つのパネルと1つの映像で構成される。見出しにはポルトガル語で『独島(竹島)はどこにある?』と書かれ、その下に『韓国に最も近い位置にある島』と強調されている。
 中央で流れる竹島の映像の下には『竹島は国際法に従って、歴史的にも、地理的にも、明らかに韓国の領土である』と明記。

1877年3月に明治政府が出した『太政官指令』の写真

 さらにその右側には、『独島(竹島)が日本の領土ではないことを公式に確認した文書』として、1877年3月に明治政府が出した『太政官指令』の写真を展示。
 写真には『伺之趣竹島外一嶋之義本邦関係無之義ト可相心得事(現代語訳=伺いの件、竹島と他一島の件は本邦と関係無しとして良いと心得る事)』と書かれ、ポルトガル語で翻訳と経緯の説明も記載されている。
 この件に関して、在サンパウロ日本国総領事館の楠首席領事に電話取材をしたところ、「当館から韓国文化院と韓国総領事館に抗議の手紙を出し、中止するように伝えている」と回答した。
 楠首席領事は「先月この展示を発見した。東京の方とも相談しながら進めており、今月18日付で抗議の手紙を韓国文化院に届けた。さらに韓国総領事館にも手紙のコピーのメールを送っている」と対応を説明。

ポルトガル語で『独島(竹島)はどこにある?』と書かれている

 さらに「展示されていた文書の『竹島』は、現在日韓関係で問題になっている島とは別のものだということが分かっている」と回答。日本国外務省HPによれば、「現在の竹島は、我が国ではかつて『松島』と呼ばれ、逆に鬱陵島が『竹島』や『磯竹島』と呼ばれていた」と認識されている。
 「手紙には『竹島は、歴史的、国際法的にも日本の領土で、日韓関係を更に悪化させる行為はやめてほしい』という内容を記載した」とし、韓国政府側の対応については「担当領事に直接話したが『対応は検討する』と言われ、27日午前の時点で未だに返答はない」と語る。
 楠首席領事は「1905年に日本は竹島の領有宣言を行い、51年のサンフランシスコ平和条約で日本の領土であると国際的にも確認された。総領事館として、韓国側にはすぐに展示を中止してもらいたい」と述べた。


□関連コラム□大耳小耳

 サンパウロ市の韓国文化院で『独島(竹島の韓国名)は韓国の領土である』と書かれた展示は、日韓における竹島の領土問題について何の説明もなく展示されているため、一般のブラジル人は展示を見ても何の事だか分からなそう。ただし、たまたま記者と一緒に訪れた日系人は「『竹島は日本のものじゃない』という文書があるなら、日本の方が悪いの?」と首をかしげていた。誤解を生む展示であることは間違いない。昨今は、以前にもまして日韓関係の緊張状態が続く。そんな時に、なぜブラジルでこの展示を始めるのか? 余計な騒動の火種となり得る問題は、即刻取り下げてほしいところだ。
      ◎
 「温かく受け入れてくれた養国ブラジルにおいては、どんな移民同士も仲良くする」という不文律がある。「サントス港でヨーイドン!」とばかりに、この国に到着した瞬間からそれ以前の出自やしがらみをゼロにして、一からやり直す美習だ。それゆえユダヤ人とパレスチナ人、イスラム教徒とキリスト教徒も、ルーツ国ではどんなに血を流していても、ここでは平和共存を最優先する。だからブラジルでは殺人事件はたくさん起きても、政治テロは起きない。そのブラジルにおいて、政府の出先機関である韓国文化院が、本国の政治問題をあからさまに訴える展示を始めた。この動きは、韓国移民コミュニティとはまったく関係がない。韓国政府独自のものだが、ブラジルに来た移民の良き伝統を無視した行いといえそうだ。だが、「赴任先国の伝統を尊重すること」は、外交官が本来最も大事にすべきことでは?

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • ■ひとマチ点描■結婚式のあでやかな着物展示2017年5月23日 ■ひとマチ点描■結婚式のあでやかな着物展示  ブラジル日本移民史料館では、文協ビル3階にあるショーケースで「結婚式の着物」の企画展示をしている。見学は無料。平日と土曜の史料館事務所の営業時間帯のみ見学できる。普通は入れない場所にあるため、3階でエレベーターを降りてすぐにある事務所で申し込みを。  さらに特別企画 […]
  • サントス強制退去の証言=その日何が起こったのか=(1)=銃を持った警官が退去命令2019年12月12日 サントス強制退去の証言=その日何が起こったのか=(1)=銃を持った警官が退去命令  第2次世界大戦中の1943年7月8日、サントス沿岸一帯に住む日本人移民6500人を中心とした枢軸国の移民に、サンパウロ州政治警察から24時間以内の退去命令が下された。着の身着のまま住居を追われ、土地や家財の処分もできず、外出していた家族と生き別れとなった人もいた。日系 […]
  • 援協役員会「会員減少は問題」=診察料特価、来年も継続2019年12月5日 援協役員会「会員減少は問題」=診察料特価、来年も継続  サンパウロ日伯援護協会(与儀上原昭雄会長)は「定例役員会」を11月28日にサンパウロ市の援協本部ビルで行った。リベルダーデ医療センターで実施している、診察・検査を特別価格で行うキャンペーンについて、来年も継続することが与儀会長から発表された。  援協創立60周年記念 […]
  • 北海道協会 援協に5千レアル寄付=移住100周年の感謝込め2019年11月20日 北海道協会 援協に5千レアル寄付=移住100周年の感謝込め  ブラジル北海道文化福祉協会(大沼宣信会長)は12日、日伯福祉援護協会(与儀上原昭雄会長)の高齢者養護施設・サントス厚生ホームに5千レアルを寄付した。  12日午前、北海道協会の大沼会長、馬場光男副会長、平野オストン副会長、中浜弘オスマル会計理事の4人がサンパウロ市の […]
  • 和やかに62年目の同船者の集い=57年9月6日着ルイス号2019年11月8日 和やかに62年目の同船者の集い=57年9月6日着ルイス号  1957年9月6日サントス港着のオランダ船「ルイス号」の同船者会が、10月27日(日)にサンパウロ市の文協ビル5階県連会議室で行われた。当日は18人が参加し、思い出を語り合った。  彫刻家の豊田豊さん、追田空海雄さんをはじめとしたサンパウロ市内在住者や、スザノ市の高 […]