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拡散の止まらぬコロナウイルス=暗闇を抜け出したいブラジル=聖市在住 駒形秀雄

 コロナウイルスの拡散が止まらない。
 今年初めに中国で発生したと聞いた時は、まだ「対岸の火事」程度に考えていたが、まもなくイタリア、スペインに飛び火し、「とうとうヨーロッパでも」とびっくりさせられました。
 更に拡散の勢いは留まらず、後から地力に優る米国が急迫して、今やニューヨーク州だけで、本家の中国を上回る罹患者を出し、とうとう世界一となってしまいました。

 そうして、世界全体では170万人を超える感染者、10万人を超す死者を出して関係者の心胆を寒からしめています。
 このコロナ禍は更に深化し、もう私たちブラジルの足元にまで迫っています。
 政府や医療関係者は種々の対応策を打ち出してはいますが、何しろコロナ病は『新型』でどう対処したら良いのか分からないところが多い。それに日系人社会でも日本語の(紙の)新聞が滞った事もあり、なかなかキチンとしたニュースが伝わって来ない。
 「この暗闇、一体どうなるんだろう。トンネルは何時終わるのだろうか?」――疑心暗鬼はつのります。
 ここでは一つ、皆さんと一緒にあちこちから入って来るお話などを整理し、また、自分なりの対応策などを考えて見ようと思います。

まだまだ増えそうなブラジル

 ブラジルでは2月26日にコロナ病第1号感染者が判明し、3月17日に最初の死者が記録されています。この後、罹患者は急ピッチで増え、4月8日、1日だけで2210例の感染が報告されております。
 13日現在でブラジル全体の感染者は約2万3430人、死者は1328人です。このうち約半数はサンパウロ州で確認されています。日系人でも10人近くの死亡が報じられており、私たちも十分の警戒が必要です。

 問題はまだ増えるのか?(終わりはないのか?)ということですが、残念ながら、まだ増えそうなのです。マンデッタ保健相も「感染のピークは4月末から5月はじめ(?)」と言っています。それで済むのかどうかです。
 別表で分かる通り、ブラジルの半分も人口がないヨーロッパ諸国でブラジルの5倍から7倍の発症者が出ているし、死者に至ってはブラジルの10倍~12倍もの数字が上がっているのです。医療機関の充実ぶりから判断しても、とてもブラジルがこのままで済むとは思えませんね。

拡散防止に必死な関係者

咳き込む女性(参考写真)

 ブラジル行政機関、医療関係者もこのようなコロナ病の蔓延に手をこまねいて居るわけではありません。
 サンパウロ州などではドリア州知事以下が声をからして「密集、密閉、密接の3密を避けよ」と日本の『緊急事態宣言』よりも厳しい条件を定めて市民に行動の自粛を求めています。
 デモ、ミサなど大規模集会の禁止、学校などの休校、飲食店、衣料販売などの商店の閉店など、皆様ご存じの通りです。
 しかし問題は「自主性に富む」一般市民がどこまでこの行政の指導に従うかです。規制の第一週あたりは大分これが守られていましたが、先週あたり天候もよくなるともういけません。
 囲いの無い公園などは青空の下、家族ずれの散策を楽しむ人で一杯です。街角のバールなどでは一杯飲んで談笑する人々で人だかりが出来ていました。調査によると市民の家内滞留率は40%台です。
 「これでは規制の効果は底抜けだ。誰の為でもない、自分の為なんだから『FIQUE EM CASA』知事も怒る訳です。ブラジルでは市民の60%位がこの規制を守ってくれればと言っていますが、日本では東京都の美人知事は優しい声で「平常時のね、8割減位の人出で抑えられるのが目標です」と言っています。
 結果が出て、最後に笑えるのはどちらでしょうか?

特効薬・ワクチンはどうか

特効薬はいつ見つかるか(Marcelo Casal/Agencia Brasil23.430)

 現在実施、要請されているコロナ防御策は以上のようなものですが、これはコロナウイルスに接触しない様、避ける様にという隔離、分離策です。これは新型ウイルスへの特効薬は無いし、免疫用ワクチン(VACINA)にしても『開発から実用までは最低1年はかかる』から、即効性は期待出来ない。今取り敢えずの対策として採用されているものです。
 「何だこれじゃ、空から爆弾が降って来るから逃げろ、防空壕に入れ、と言ってるようなもんじゃないか」
 「もっと強力な、襲来する敵機を撃ち落とす新鋭戦闘機とか、高射砲はないのか!」
 そんな長屋の八さんの声が聞こえます。
 実は世界各国ともこの新型コロナ病の特効薬や予防ワクチン(VACINA)の開発にしのぎを削っています。ブラジルでも各高名の研究所やA・アインシュタイン病院、USP大学などが研究開発を進めていますが、とりあえず目前に迫る病気を治すにはと、既存の疫病用薬品の転用、活用が出来ないかを調べています。その詳細は専門の他の人にお願いするとして、以下に2、3の薬品名を挙げてみましょう。
★「クロロキナ(CLOROQUINA)」=元々はマラリアなどの治療薬ですが、中国、米国などで試用したところ良い結果が出たと言うことでブラジルでも試されています。但し副作用もあり、良くないという意見も出ています。
★「アビガン」(AVIGAN―FAVIPRAVIN)=カゼ治療用にと日本フジフィルム/富山化学が開発したものです。中国、イタリアなどで試用したところ効果があったと報告があり、ブラジルを含む各地でテストしています。
★他に、一旦コロナ病にかかり完治した元患者の血清など(抗体)を取り出し、これをワクチンとして使えないか、という研究もありますが、実用までには更に時間がかかるそうです。
 ここまで聞いていた八さんが発言しました。
 「最高の知恵を絞り、たくさんの金を使って宇宙のチリを拾い集めたりするのも大事なんだろうが、こんな流行カゼの治療法開発にこそ力と金を使って貰いたいね。一日も早い解決法発見を頼みますよ」
 まったくです。

それで経済はどうなる

 コロナ病の対策はさておき、「それで我々の暮らしは? 経済はどうなるの?」という問題です。
 これが私たちのもう一つの大関心事ですね。日々のお客様の来店に頼っている飲食店、日用品、衣料店などはお客が来ない、当然お金は入らない。「家でじっとしていなさい」なんて言われても、これじゃ、本人の方が先に干上がってしまいます。
 働き場がなくなった給料生活者、タクシー業者なども同様です。「収入の元を止めてどうしてくれるんだ」です。
 行政府としてもこのことは理解していますから、種々手は打っています。生活困窮者には月600レアルを3カ月間支給する。年金などの一部を前倒しで払う。一部税金や料金の支払い猶予等などです。
 これとは別に大手企業から悲鳴も上がっています。例えば国の基幹産業である自動車メーカーです。「車は沢山の部品を組み立てて出来ている。これら部品の殆どはその専門業者から製造、供給されている。その製造者は中小規模で通常2~3週間の運転資金で経営している。ここで車が売れず、部品の買い付けが途絶えると、生産者の手持ち資金(CAIXA)が無くなる。外国から、本社から金を持って来てと言われても、その海外、本社も問題でいっぱいだから、とても他所の国の提携先にまで手は回らない。これがもう少し続いたら、工場閉鎖、破産の事態が出てくる」
 ここは何とか政府の理解、助力が欲しい。「具体的には政府の政策銀行BNDESなどから長期低利の融資をこれら協力、下請け企業に出して貰いたい。
 『多くの工場労働者の働き場を確保し、優秀なエンジニアーたちをつなぎ留めることは社会の発展のためにも不可欠なことだ』とGMとかVWの大手経営者がこう主張しています。
 経済全体への影響について、専門家の見方は悲観的です。今年、来年にかけて国内総生産の伸び(成長率)は4%~6%のマイナスと予測されていて、成長、発展の声は聞こえて来ません。何処かに明るい話を期待したいのに、です。
 さて、今度は高層アパートにお住まいの、年金ご隠居の古川さんのご意見を聞いてみましょう。
 「病気の解決対策も不可欠だが、これと併行して毎日の市民の暮らしへの対策も至急講じなければならない。ボルソナロさんも街角のバールで普段と変わらぬ飲み食いをして、『大丈夫、心配することないよ』とのパフォーマンスも大事だが、大統領でしか出来ないこの様な国としての社会経済対策を早急に実現しなければならない。ブラジルには人も資源も豊富にあるのだから、これを生かせる政策が欲しいね」でした。
 その通り、国民の総力を結集さして、この危機を皆で乗り越えたいものです。

ではどうしたら良いか

特に肺に悪影響を与えるコロナウイルス(参考写真)

 「いや、コロナ病の現状のおおよそは分かったよ。それでね、我々はどうしたら良いの!」
 「病気は今すぐ治せる薬はない。政府の救済対策もすっきりせず、我々のところまで金が回ってきそうもない。わしらはお先真っ暗な洞穴にでも押し込まれた気分だね」
 こんな声が聞こえてきます。
 世の中の仕組みを良く知っていて、いつも相談に乗ってくれる年金隠居古川さんの意見を聞いてみました。
 「こうなったら一個人がジタバタしてみたって仕様がない。各自が自分の事に気を付けて病気にならない様、あるいはコロナウイルスにかかっても軽く済む様、自分に抵抗力をつけることですよ」
 「抵抗力のある体にするには『よく眠る』「栄養バランスの良い食事をきちんと摂る」『適当に体を動かし、家事を手伝う』などはどうか」
 「これにメンタルー精神面の保健も必要だね。奥さんにグチグチ言われてもあまり腐らない。なるべく逆らわない。自分の趣味、読書、歌、ゲームなどがあればそれで気分の転換を図るのも良いだろう」です。
 日本では皆が真面目で、行政指示によく従います。首相などが「現在のコロナ病拡散状況は戦争と同じです。国民の皆さん、勇気を持ってこのコロナウイルスとの戦争に勝利しましょう」と言えば、その方向で進みます。
 このように、(A)必勝の信念を持って危機を克服するーのも一つの方策ですが、もう人生の大半を戦って、また闘ってきた私どもとしては、(B)「それはもう、若い人にまかせよう」「我々老戦士はもう緊張はやめて、平穏な心で孫の成長でも楽しみたい所だよ」ーも無理の無い気持ちと思われます。
 (A)でいくか、(B)を選ぶか、ここは皆さま「各自のご選択」で決めることで了承願います。(ご意見はこちらへどうぞ => hhkomagata@gmail.com

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