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コロナ禍で孤立深めるボウソナロ

ボウソナロ大統領(Marcello Casal/Agencia Brasil)

 「いったいどこへ向かおうとしているのだろう」。新型コロナウイルスに対して、世間一般から遠くかけ離れた反応を示して以来、ボウソナロ大統領の行動がやることなすこと裏目に出ている。
 政見放送で「経済優先」を訴えて隔離政策の終焉を唱えれば相手にされず、自分の息子率いるネットのヘイト・スピーチの部隊を総動員してマンデッタ保健相やドリアサンパウロ州知事を攻撃すれば、一部の支持者は過激化するも隔離支持派からはさらに嫌われる。
 狂信化した自分の信者を率いて一気に連邦議会に脅しをかけるべく軍政復古のデモに自ら参加して煽ってみては、各方面から「民主主義を破壊する気なのか」と真剣に呆れられる。

 その間、コロナウイルスを深刻なものと受け止め、不安がる国民に対して「自分に任せておけ」とでもアピールしていれば、他の国の国家元首が実際にそうなっているように、自己最高の支持率を獲得することさえ可能だったかもしれない。
 それが今や22日現在で、17の罷免請求が下院に集まる事態になってしまっている。さらに「経済問題が大事だ」などと大騒ぎする割に景気浮揚策はなく、1ドルが5・40レアルに下落する事態を招いてしまった。
 大体、「独裁体制にしたいのか」と疑われること自体、タイミングとして非常に不適切だ。それを「コロナ禍の際」にやるというのが「国民のことも考えずに自分のこと優先か」と思われてしまう。
 歴史上、いったいどこの国で「議会を制したくても自分の所属政党さえない」「最高裁判事に味方が一人もいない」「軍からお目付役をつけられている」ような人物が独裁政権を築くことができたのか。
 ベネズエラのマドゥーロ大統領の方がまだ、最高裁や軍を掌握していた分、それが可能だったと言えるだろう。
 ボウソナロ氏は今になって急に「議会工作」を始めているというから驚いた。そして、「それでは、今の支持者でさえ失いかねないぞ」と思い、呆れた。
 なぜか。それはボウソナロ氏の支持者が「これまでの政権がしなかったことをやっている」ことに彼の特別さを見ようとしていることだ。ボウソナロ氏は、これまでの連邦政府で常套手段だった政党連立を「古い政治」、さらに「PTがやった政治」と蔑んでいたが、今まさにそれをやろうとしてるのだ。
 この目的が「罷免審議を進められるのを避けるため」というが、この行為は「でもPTよりはマシ」が口癖の彼の支持者が拠って立つ支持の根拠さえ揺るがしかねない。
 しかも、「中道政党との連立」だけならまだしも、ロベルト・ジェフェルソン氏(ブラジル労働党・PTB)やバルデマル・コスタ・ネット氏(自由党・PL)に役職を与えようともしているというからさらに驚きだ。
 二人ともに、メンサロン事件の代表的な被告として有名な政治家だ。この2人はともにボウソナロ氏の下院議員時代の所属政党の恩師ということで進んだ話のようだ。
 だが、PTを攻撃する際に材料に使ってきたメンサロン事件で実刑を受けた政治家を、自分の政権の要職につけるとなったら、支持者はいったいどう反応すれば良いのか。これは「一人だけ反隔離を叫ぶ」こと以上に死活問題だと思うのだが。
 さらに、この2人が実際に要職を持つとなったら「自身のクリーン・イメージのアピール」を目的に抜擢したセルジオ・モロ法相の立場はどうなるのか。
 以前、オニキス・ロレンゾーニ前官房長官の秘密口座疑惑を「罪を認めて謝ったから良い」と弁解したモロ氏だが、まさかメンサロンの主要被告を「もう、実刑を受けて反省したからいい」と開き直ってかばい切れるとは、コラム子は思わないのだが。(陽)

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