ホーム | コラム | 樹海 | 同一基準で動ける容易さと、違いを乗り越える努力

同一基準で動ける容易さと、違いを乗り越える努力

「民主主義と命を守るため」との横断幕を掲げたサンパウロ市でのデモ(7日、Guilherme Gandolfi)

「民主主義と命を守るため」との横断幕を掲げたサンパウロ市でのデモ(7日、Guilherme Gandolfi)

 コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が始まって以来、コンピューター(CPU)やソフトが違うと作業手順などが全然違うと実感している。
 ソフトの差による手順増は会社でもあったが、在宅だと各自のCPUで作業するため、手順の差が大きくなる。自分のCPU(ノートブック)で作った文書を在宅作業用に用意されたプログラムに載せ、会社のCPUで開くと、別のソフトで作成した文書としてしか開けないため、会社で仕事をする必要がある時はペンドライブを持ち歩く。
 通勤時間が不要だから能率が上がるという人もいるが、コラム子の場合は在宅の方が手間や時間がかかる。思いがけない出来事に情報を確認したくて、真夜中までCPUの前に座りっぱなしとなる時もある。だが、新聞を出すという目的があるから、違いによる手順増などは乗り越えられる。
 在宅中は、コロナ禍で苦しむ人達への基礎食料品セット配布や求人窓口開設という話にホッとする一方で、外出自粛を無視して繰り返されるデモなどで、違いを主張し、他者を攻撃する姿を見て、胸が痛む事も多い。

 軍政後にせっかく獲得した民主主義社会において、軍介入を求めて最高裁や議会の閉鎖を訴えたデモには特に驚いた。最近は民主主義擁護や反差別のデモが増えたが、表現の自由と暴言を混同しているかの発言に愕然とした時もあった。
 同じ視点、土台を持つ人だけなら話は簡単だ。同じオペレーションシステムで動いているコンピューターという機械でさえ、機種やソフトが変われば作業手順が変わる。まして、人間という不安定な感情の動物が動かしている民主主義社会では、同じ「民主主義」だと思っていても各自の考えは違って当然だし、違いがあるからこそ多様性が生まれる。
 より良い社会の建設には、互いの差を認め、乗り越える努力が不可欠だ。それが国や世界となればなおの事、リーダーの度量や責任が問われる。(み)

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • 現場の人達は必死なのに…2020年6月18日 現場の人達は必死なのに…  ジョアン・ドリアサンパウロ州知事が、ブタンタン研究所と中国企業が予防接種ワクチンの治療検査(治検)と生産で提携と発表した。  コロナ禍は「予防接種か特効薬が出来るまで終わらない」とされ、開発プロジェクトは130以上あるが、開発には治験が不可欠だ。ブラジルではイギリス […]
  • 何気ない日常の尊さ2020年6月25日 何気ない日常の尊さ  ブラジル初の新型コロナ感染者確認から早4カ月。ブラジルでは24日朝の時点で5万2788人、世界中では47万4609人という、大きな犠牲者が出ている。  外出自粛などで感染拡大が終息した国、拡大中の国、感染再燃中の国など、実情は各国各様だ。だが、どの国でも共通する事の […]
  • 「新旧右派対決」の様相のフェイクニュース捜査2020年5月29日 「新旧右派対決」の様相のフェイクニュース捜査  「ああ、ついに起こってしまったか」。27日、ボウソナロ大統領を熱烈に支持していることで知られる政治家や活動家、企業家を対象にした連警捜査が行われたと聞いたとき、コラム子は即座に思った。  コラム子にとって印象的だったのは、フェイスブックの新聞や雑誌、ニュースサイトの […]
  • 自粛中にブラジル初床屋2020年6月27日 自粛中にブラジル初床屋  サンパウロ州政府が外出自粛を発令し、早くも3カ月が経とうとしている20日土曜。オーリャ子はこの間に伸びた前髪や襟足にイライラしていた。元々短髪で、自粛令以前は月に一回こまめに散髪をしていた。  コロナ感染が怖かったが、我慢も限界になり自宅近くのブラジル人が経営する散 […]
  • 《記者コラム》ボウソナロ政権のダメ大臣列伝2020年7月3日 《記者コラム》ボウソナロ政権のダメ大臣列伝  日本のプロ野球ファンのひとつのジョークのネタに「ダメ外人列伝」というものがある。これは、「高い期待を期待されながら入団したのに、活躍することなく終わった外国人選手」を揶揄して楽しむものだ。  6月30日に教育相を辞任したカルロス・アルベルト・デコテッリ氏のこの数日の […]