ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領独裁化の危機説も?!=異例の3軍司令官解任で=3月31日の「軍事クーデターの日」直前=軍部や国民はついていかず

《ブラジル》大統領独裁化の危機説も?!=異例の3軍司令官解任で=3月31日の「軍事クーデターの日」直前=軍部や国民はついていかず

解任されたプジョル前陸軍司令官(Marcelo Camargo)

 3月29日から30日にかけて、フェルナンド・アゼヴェド・エ・シウヴァ国防相、陸空海3軍の総司令官が続けざまに解任されるという、ブラジル史上最大の危機が起こった。3月30日付UOLサイトなどによると、これはボルソナロ大統領が希望するエスタジオ・デ・シチオ(戒厳令のひとつ)を軍が支持しなかったことで起こったものだという。3月31日が1964年の軍事クーデターの日でもあったことから、ボルソナロ大統領による軍を背景にした独裁体制化を懸念する声もあがったが、それは起こらなかった。3月29日〜4月1日付現地紙が報じている。
 3月29日、アゼヴェド国防相が突如解任されたことは、衝撃をもって迎えられた。この日はこの他にも、エルネスト・アラウージョ外相、ジョゼ・レヴィ国家総弁護庁(AGU)長官の更迭と、それらに伴う官房長官と法務相、大統領府総務室長官の交代が起き、ボルソナロ政権にとって激動の一日となった。
 3月30日付UOLサイトなどによると、アゼヴェド氏の解任の理由となったのは、大統領が求めたエスタード・デ・シチオの実施に反対していたエジソン・プジョル陸軍司令官の交代に同氏が同意しなかったためだと言われている。
 大統領はかねてから、リオ・グランデ・ド・スル州、バイア州、連邦直轄区で行われている厳格なコロナ対策は大統領しか宣言できないエスタード・デ・シチオに相当するとし、強硬にやめさせることに固執。それだけでなく、大統領の権限だと主張するシッチオの実施をにおわせていた。
 アゼヴェド氏の解任に対し、プジョル陸軍、イルケス・バルボーザ・ジュニオル海軍、アントニオ・カルロス・ベルムデス空軍の3総司令官は強い不満を示し、憲法に抵触する行為には関与しないとの意向をその日の内に表明した。

 とりわけ、プジョル氏はかねてからボルソナロ氏と対立する姿勢が目立ち、「軍は政治には関与しない」「コロナ対策こそが現在の軍の最大の課題」と主張していた。
 3総司令官は翌30日、新たに国防相に指名されたヴァルテル・ブラガ・ネット氏との会談後、全員、解任された。大統領の任期半ばで3総司令官が一斉に解任されたのは、ブラジルの歴史上はじめてのことだ。
 翌31日は、1964年に軍事クーデターが起こった日でもあったため、ネット上などでは「ボルソナロ大統領が軍政化を図るのでは」との噂も流れたが、起こらなかった。
 それは、軍がそれを支持しない姿勢を固持したためで、この日に全国各地(少なくとも10の州都)で行われた「軍事政権の復活を望むデモ」は、いずれも閑散としたもので不発に終わった。グローボ紙のジャーナリスト、ラウロ・ジャルジン氏が4日に掲載したコラムによると、ある軍人閣僚が「ボルソナロ氏が仮に軍政化を図る行動を起こしたとしても、ついていく兵士は3人といなかったであろう」と語っていたという。
 現地紙やジャーナリストたちの今回の件に関するボルソナロ大統領への評価は否定的で、「ボルソナロ氏は、自分で自分の足を撃ったようなものだ」「クーデターを起こすことさえ無能」「軍政化を行おうとすればするほど政権崩壊は強まる」などの記事が目立った。
 また、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事、エンリケ・マンデッタ元保健相、エドゥアルド・レイテ・リオ・グランデ・ド・スウ州知事、シロ・ゴメス氏、ルシアノ・フッキ氏、ジョアン・アモエド氏といった22年の大統領選の出馬候補たちは、3月31日に連名で民主主義の順守を求める共同声明を出し、ボルソナロ氏を強くけん制した。

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