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聖南西果樹農家巡り(下)=ピエダーデの益田照夫さん=大規模化して次世代に継承

子供達が導入した選別機械の前で益田さん

子供達が導入した選別機械の前で益田さん

 フェイラには真っ赤に熟れた柿が並んでいる。生産者の大半は日系人だ。その代表的な一人、ピエダーデ市で高品質な柿や栗などを生産する益田照夫さん(79歳・愛媛県)を取材した。
 益田さんの生産物は聖市の台所、中央卸売市場「セアゼスピ」で卸売されている。柿の収穫期の現在は週3回卸し、1回当たりなんと600箱程を出荷するという。
 益田さんは1961年にコチア青年移住者として渡伯し、ピエダーデの戸田農場で働いた。4年間務めた後、独立。当初はバタタ(ジャガイモ)やセボーラ(玉ねぎ)を植えていたが、気候に適した柿を始めとした栗、スモモ、ナシなどの温帯果樹の栽培を始めた。現在はアテモヤやオレンジなども生産している。農場は約90アルケールにもなる。
 「当時バタタやセボーラを植える所から始めたけど紆余曲折があって、ここの温暖な気候に合わせた果実を植えた。美味しい物を作れるようにここに合わせて工夫して生産を行っているよ」とにこやかな笑顔で語る。
 農場経営に携わる長男・長女は、共に農業大学卒業のため、最新の設備機器を導入している。
 益田さんは、「私はコンピュータや機械に詳しくないけど、子供達が最新の農業技術を学び機械を導入している。この倉庫内にある果実の重量を自動で計測し、選別する機器も子供達が選別作業効率化の為に設置した。私の移民当初とは違い、便利なものが次々と出ているので本当に驚かされる。こうして子供達が率先して農場経営を手伝ってくれるので本当に嬉しい。農業をやってきたかいがあった」と満足げに語った。
 益田さんは定期的に自分の柿や果物を直販売しにサンパウロ市に訪れ、本紙ビルにも販売に立ち寄る。その理由を訪ねてみると、「お客様の声や喜ぶ顔を直接みることができるからだな。例えば、仲の良い友人や常連さんに手売りすれば付き合いで買うでしょうが、本当に美味しくなければ買い続けてくれない。そうした時には、前回販売した商品に何か原因があり改善点があるとヒントがもらえます。そうしたお客さんの意見を肌で感じることができるから手売りをやっている。『こないだの美味しかったよ』と直接言ってもらえるのも本当に嬉しいんですよ」と満面の笑顔を浮かべて述べた。(終、淀貴彦記者)

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