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《ブラジル》麻酔などの薬不足深刻化=入院拒否や患者を縛る病院も

薬品キット欠乏について報じる13日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 重症の新型コロナ感染症患者に人工呼吸器を装着する際に必要な薬品などが不足し、重症者の受け入れを拒否または制限する病院などが出ていると13~15日付現地紙、サイトが報じた。
 重症化した新型コロナ感染症患者の増加は、集中治療室(UTI)の占有率上昇だけでなく、医療従事者の不足や人工呼吸器を装着する際に不可欠な薬品や資材の不足なども招いている。
 人工呼吸器装着時に不可欠な薬品キット(kit intubacao)の不足は日毎に深刻化し、40日以上前に保健省にキット送付を依頼したサンパウロ州は13日に再請求。
 同州約300の病院では同時点でキットが欠乏し始めていた病院が多く、14日にはサンパウロ州、リオ州、ミナス州での薬品不足が更に深刻化と報じられた。

 15日には、保健省が購入できたのは需要の17%のみで、汎米保健機関(Opas)からの寄付待ちだが、同機関が納入できたのも要請した量の14%といった報道も流れた。医師達はより副作用の強い薬も含めた代替案を探りながら対処しているが、サンパウロ市などでは薬が足りないため、入院中の患者への対応を優先し、患者の受け入れを制限する病院も出始めた。
 不足が深刻化しているのは麻酔や鎮痛剤、筋弛緩剤、抗生物質、血液循環を助ける薬品などだ。人工呼吸器を装着している患者が目覚め、管などを外してしまうのを避けるため、ベッドに縛りつける必要が生じたという報告まである。
 13日には、患者の死亡率が80%に達した仮設UTIがあるとの報道もあったが、医療従事者や機材、薬品のいずれか一つでも不備があれば、救える命が救えなくなる可能性が高まる。

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