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コロナ禍=サンパウロ州などで月間死者数新記録=1日平均の死者は減少傾向だが=予防接種計画に更なる遅れ

ケイロガ保健相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 21日付伯字サイトに「サンパウロ州の月間死者数が新記録を更新」との文字が躍った。コロナ感染再燃により全国で医療崩壊やその危機が生じ、4月の死者は10万人超との予想まで出たように十分予想できた。1日の平均死者数は減少傾向にあるが、月末を待たず、6連邦自治体で月間死者数が新記録を更新中だ。
 21日現在のサンパウロ州の死者は9万627人で、4月に入ってからの死者1万5975人は、3月に記録した1万5159人を超えた。
 16~20日に月間記録を更新した自治体と死者数(過去最高月と人数)は、連邦直轄区1359人(3月1191人)、マット・グロッソ・ド・スル州1058人(同958人)、エスピリトサント州1423人(同1084人)、ミナス州6662人(同5767人)、リオ州5383人(昨年6月4736人)だ。
 21日現在の全国の死者数は38万1475人。7日間の平均は2799人/日。平均死者数は12日の3124人/日以降、徐々に減り、20日は2797人/日になったが、微増した。
 21日現在の感染者数は1412万2795人で、7日間の平均は12日の7万2030人/日以降減少し、20日は6万3297人/日になったが、21日は6万4184人/日に増えた。

 サンパウロ州の場合、変異株による感染増加と不法なイベントなどによる3密で若い人が急速に悪化して死亡する例が増加。2~3月は20~29歳の死者が52人から202人に増えた。若い人の感染増や重症化は入院長期化、病床占有率の上昇を招き、医療崩壊を早める。
 連邦政府は抑え込みの切り札としての予防接種にも注力し始めたが、それだけでは感染拡大は抑制できず、社会隔離との併用が必要と世界保健機関なども強調している。また、連邦政府の外交政策の歪みによるワクチン購入や有効成分の輸入の遅れに、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)の機材故障などが重なり、予防接種計画は遅れる一方だ。
 Fiocruzのワクチン納入が遅れている事やファイザー社のワクチン購入契約の締結の遅れなどで生じたワクチン不足で、接種中断が頻発している。ワクチン調達は保健省の責任であるにも関わらず、検察庁は知事達に接種が遅れている理由の説明を求めるという混乱も発生。
 21日にはケイロガ保健相が、高齢者や医療従事者、教師、慢性疾患患者、、交通・運輸機関の運転手などの優先接種対象への接種完了は9月との見通しを発表した。パズエロ前保健相は優先対象者への接種は5月に完了、全国民への接種も年内にとしていたから、大幅な遅れが生じている。慢性疾患患者への接種は5月から始まる予定だ。
 予防接種の感染抑制効果は実施率と実施速度の双方で決まるが、ブラジルは実施開始も実施速度も遅く、変異株の発生とそれによる感染爆発を招いた。

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