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《記者コラム》一都市のロックダウンでは解決しない深刻な問題

2月に行われたロックダウン時のアララクアラ市(Divulgacao/Prefeitura de Araraquara)

2月に行われたロックダウン時のアララクアラ市(Divulgacao/Prefeitura de Araraquara)

 新型コロナの変異株による感染者確認で2月にロックダウンを行ったサンパウロ州アララクアラ市が、再びやる可能性が出てきたと9日付伯字紙が報じた。
 同市はサンパウロ州初のロックダウンを行い、周囲の市で感染が広がる中でも感染者や死者、入院患者数の明確な減少を見た。病院には周囲の市の患者を受け入れる余裕さえ生まれていた。その事例は、ロックダウンやそれに準ずる外出規制を採用したい市の参考にされた。
 だが、サンパウロ州内陸部でP4という新変異株が出現し、周辺地域での感染が再燃し始めた事で、同市でも感染拡大や入院患者増加が見られ、5月にはロックダウン採用のための基準を定めた市長令も出た。
 同令では、陽性者が2割を超える状態が3日以上続くか、自覚症状がある人の感染確認が3割を超える状態が1週間で3日以上確認されるとロックダウン実施と定めている。
 既に、PCR検査を受けた人の2割以上が陽性となり、自覚症状がある人の感染確認も3割近いという数字が出て、市長令に基いてロックダウンを採用する可能性が濃厚になっている。
 同市の例は、市単独で感染を下げても、周囲で再燃すれば、結局は元の木阿弥になるという貴重な教訓を示している。周りも同調して感染を下げなくては、同じ事を何度も繰り返す事になる。
 この事はコロナワクチンの接種で、より広範な地域で集団免疫を作る事の重要性も示す。社会隔離だけだと抗体を持たない人が大半を占める状態が続き、外からのウイルス流入への障壁にならないからだ。
 無策による感染拡大も集団免疫を作り得るが、その場合は犠牲が余りにも大き過ぎる。アララクアラ市の例とイスラエルや英国、米国などの国々の例は、社会隔離やマスク着用などの科学的な方策と予防接種の併用の大切さも明示する。
 先人達は歴史に学ぶ大切さを説いたが、スペイン風邪大流行時の対策や科学的な論を無視する姿勢は、我が身や身内、国までを亡ぼし得る事を心するべき時だろう。(み)

★2021年2月17日《サンパウロ州》市長が警告「変異株なめるな!」=感染急増で医療逼迫、若者入院増=カーニバル3密の結果が今後出る?

★2021年5月26日《ブラジル》コロナ死者45万人を超過=再燃で規制強めるサンパウロ州内陸部=全国でUTI高占有率に懸念

★2020年4月2日外出規制は経済回復を早める=米国の例が大統領の弁の反証に

★2021年6月1日《サンパウロ州》集団接種で死者95%に激減=セラーナ市の実験で効果歴然=周囲では感染増が続く中

 

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