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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩

 著書『ブラジル日系社会 百年の水流』(改訂版も)で有名な外山脩氏がこの文章を書いた経緯は、本紙6面に2月26日から4回にわたって連載された「移民百年史出版プロジェクト 唖然、無責任極まる執行部」に書かれた通り。今回はそれを掲載することで、『百年史』に値する内容かどうか、実際に読者に評価を委ねようというもの。「日伯のナショナリズム」と「勝ち負け騒動」の深い関係を、徹底した取材に裏打ちされた、歴史や社会を見通す視野から論じている。(編集部)

第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(37)

ニッケイ新聞 2013年7月4日  極めつきは、警察の調書だけに頼って記事やレポートを書き、起訴されてもいない人を多数、テロリスト、犯罪者と決めつけている作品が幾つもあることだ。こんな理不尽な行為は、それこそ犯罪である。  しかるに、これらの作品は、日本語、ポルトガル語で多数、発表されている。書物にもなって出版されている。ブラジ ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(53)

ニッケイ新聞 2013年7月27日  同時期、キンターナの西隣のツッパンでも、山下、日高が北村新平という仲間と、押岩たちと全く同じ動機で、決起しようとしていた。  北村(26)は果物の行商をしており、山下(21)は、この時期は、姉夫婦の営む精米所で働いていた。日高(20)は、父親のバール を手伝っていた。(カッコ内は年齢)  こ ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(38)

ニッケイ新聞 2013年7月5日  戦勝派史観  一方、勝ち組の説も、便宜上、ここでは仮に戦勝派史観と名づける。が、やはり整理された形で存在するわけではない。以下は、勝ち組が買いた文章や彼らから聞いた話から、筆者が拾ったものである。  戦勝派史観は、既存の通説や認識派史観の大半を否定する。  まず、通説の中に出てくる「勝ち組」「 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(54)

ニッケイ新聞 2013年7月30日  その頃、前出のキンターナ、ポンペイア、ツッパンの決起組が、サンパウロへ移動していた。  まず、サンパウロに詳しい新屋敷が先行した。彼は、そこで協力者を確保した。  次いで他の同志が数人ずつ汽車に乗ってサンパウロへ向かった。ルス駅に着くと、出迎えた新屋敷の案内で、協力者の所へ行き、その仕事場に ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(39)

ニッケイ新聞 2013年7月6日  戦勝派史観は、さらに次の様に言う。  「襲撃事件は、実行者たちの独自の行動であり、臣道連盟が組織的・計画的に行ったものではない。しかるに、ハイセン(敗戦派)の密告によって、警察は『秘密結社・テロ組織の臣道連盟の犯行である』と思い込み、大量の人間を検挙した。主だった連盟員を根こそぎ拘引・留置した ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(55)

ニッケイ新聞 2013年7月31日  さらに、席上、各地の認識運動や戦勝派の動きが、出席者から語られているが、危機感を強く表現しているのがバストスで、山中弘は、 「バストスハ何ラカノ方策ヲトラネバ コノ認識運動モ駄目ニナル」  と実情を明らかにし、後で、もう一度、同趣旨の話を繰り返している。 やはり危機感を伝えているのがツッパン ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(40)

ニッケイ新聞 2013年7月9日  普通の受信機で聴けたということは、発信地が国内、多分サンパウロ州内であったのであろう。送波者は日本人であった筈である。  ここで、ラジオ放送など出来る技術の持ち主が、邦人の中に居たのか……という疑問は当然湧く。が、実はサンパウロ市では、戦前から、民間のラジオ放送局は、日本人向けの番組を制作・放 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(41)

ニッケイ新聞 2013年7月11日  言われて改めて思い出したのだが、当時の邦人は、終戦の日までは、誰もが日本の勝利を信じていた。戦況の悪さに気づいていた人も奇跡が起こるのを祈っていた。そういう意味では、たしかに皆、戦勝派だったのだ。  ということは、認識派史観が言う様に「終戦直後、日本が勝ったと狂信する者が大量に出た」のではな ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(42)

ニッケイ新聞 2013年7月12日  本稿の初めの方で詳しく記した様に、邦人の殆どは、明治以来の日本型ナショナリズムに基づく国民教育、社会教育を受けて成長した人々であった。ブラジルに渡ってからは、日本から吹き込むナショナリズムの熱風を浴びた。  戦時中は、迫害の中、祖国の勝利の日を待ち続けていた。天皇への尊崇や国家に対する信念は ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(17)

ニッケイ新聞 2013年6月6日  戦況情報  戦時下──自身の生活問題を除けば──邦人たちの最大の関心事は、日本軍の戦況であった。が、大部分の人が、ポルトガル語の新聞は読まず、信用もしなかった。ラジオに関しても同じであった。  唯一、ニュースが入るルートが東京ラジオ(既述)であった。邦人の間に僅かの比率だが、短波の受信機の所有 ...

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