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日本文化を踊ろう!=―ブラジルに生きる郷土芸能―=第2回=リベイロン・ピーレス=皿踊りからヨサコイまで=本番さながら気迫の練習

8月15日(金)

 「こんばんはー!」「お願いしまーす!」。毎週土曜日午後六時半、リベイロン・ピーレス日伯文協会館(リベイロン・ピーレス市セントロ区プリメイロ・デマイオ街五六、村木アントニオ会長)では子どもたちの元気なあいさつが聞こえてくる。声の主は同文協のグループ民舞(川添博代表)に所属する七歳から二十五歳の約四十人。博さん(五四)と妻の川添敏江さん(五〇)の指導の下、長崎名物「皿踊り」や北海道の「南中ソーラン節」などの練習に余念がない。

 最初は陸上

 グループ民舞は十年前、長崎県人会三十五周年を記念して同県諌早市の皿踊り隊が来伯したのがきっかけで始まった。川添夫妻は、当時、子どもたちに陸上を教えていたが、場所が狭いため別の何か、「子どもやブラジル人に喜んでもらえるもの」を模索していた。
 夫妻が試しに皿踊りを導入したところ、子どもたちの反応は上々。踊りに使う皿は、子どもたちが割らないよう父母が木を削って作成。振り付けは、体育大学卒で教諭経験のある敏江さんが担当した。
 現在、子どもたちは皿踊りのほかに、北海道稚内南中学校郷土芸能部が発祥の地となる「南中ソーラン節」、「YOSAKOIソーラン」など九曲を習得している。

 ボーイスカウト的存在

 民舞の活動目的は、(一)踊りを通じて日本文化を伝承(二)踊りの練習で忍耐力、団体精神、健全な心身を育成(三)青少年を暴力や麻薬から遠ざける(四)他団体と交流し友情の輪を広げる(五)慈善事業に参加し協力精神を培う(六)リベイロン・ピーレス代表としての自覚により、困難に立ち向かう姿勢を養う――と、実に明快。
 「日本でいうクラブ活動やボーイスカウトみたいなもの。協調性や礼儀を身につければ、社会に出た時に役に立つ」と博さんは話す。
 問題がなかったわけではない。二年前、コンクール出場の際、出演人数を制限して補欠を作ったところ、父母、子どもたちから文句が続出した。一時は弱音を吐いた博さんだが、「でも、社会に出たら、そういう問題は山ほどある。それを乗り越えることに、子どもたちが早いうちから慣れてくれれば」と親心を見せる。

 一礼して踊りの列へ

 七月十二日夜の練習を見学した。まず、全員が整列し、あいさつ。そして年長者が年少者に一対一で振りを教える。小さな子どもが相手でも、時に厳しく、じっくり分かるように説明する。子どもたちの目はみんな真剣そのもの。気温十度を切る会館は、とたんに熱気に包まれる。先程まで「寒い、寒い」を連発していた男の子は、Tシャツ一枚で汗を拭っていた。
 数々のイベントに招かれ、練習も本番さながらの気迫で挑む民舞メンバー。休憩時間に、「YOSAKOIソーランが一番大変」と頬を紅潮させながら話した年長者の西川理奈さん(二四)は、十歳から同文協の日本語学校、陸上クラブ親しみ、九年前から民舞に所属している。会話が終わると、「では、失礼します」と一礼して踊りの列へ戻っていった。その礼儀正しさに、記者は感心せざるを得なかった。
(門脇さおり記者)

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