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移民百周年記念協会=記念事業は盛り沢山

1月1日(日)

■まだ構想段階の計画も=アニェンビーで記念式典

 新年を迎え、いよいよ〇八年まで二年を切った――。ブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)では、注目されがちな「箱モノ」記念四事業以外に、たくさんの主催行事を企画・認可している。この機会に今まであまり報道されていないプランを中心に紹介し、百年祭の全貌を伝える。「百周年史」編纂(記念誌、ビデオ)から、日系人実態調査、農業・異文化・移住・宗教などの各種学術シンポジウム、「友情の灯」駅伝リレー、大相撲ブラジル場所興行、日本の高校野球選抜チームの受け入れ、カザロン・ド・シャー復元工事、宝塚公演まで多彩なプランが百花繚乱状態だ。できる限り、多くの事業を実際に行ってほしい。

■百周年記念式典■
【ブラジリア】二〇〇八年六月十八日、連邦議会で公式記念式典。予算四万ドル。日本から皇室、政府高官、政治家などを招待し、ブラジル大統領ら大物政治家の出席を要請する。
【サンパウロ】サンパウロ市内アニェンビー国際展示公園内のサンバ会場で、四万人を集めて二十一日に行う。百周年を記念した大パレードを当日のハイライトとする。予算二百万ドル。
【パラナ】ロンドリーナ郊外のローランジャで同六月二十二日に行う。
【リオ】期日、場所未定。
【ミナス】期日、場所未定。

■写真展やシンポなど主催

■主催行事■
 ※百周年祭典協会が主体となって企画や資金集めをする主催事業。
【日本移民写真展】〇八年三月予定で、移民史料館所蔵の写真や、広く一般への呼びかけて収集したものを「百年の移民の歴史」として展示する。各地で同種の催しがある場合、貸し出しし、最後には写真集として出版する。予算は三万ドル。
【移民歴史の証言=別名、百年探検隊】移住史を振り返り、移民の体験・証言を各地でビデオなどに収録する。各分野から百人を選び、これを「証言集」としてまとめ、後世の調査などに役立ててもらう。調査旅費、機材費、記録制作費として三十万ドル。〇八年六月までに収録を終え、同十二月には記録集を作成する。
【在伯日系人社会構成実態調査】各県人会および国内各地の日本人会に協力を要請する。予算は十五万ドル。
【移民の文化資料(出版物)と遺産のデータ化(CD他)】移民に関する資料の多くは紙に書かれており、変色や傷みが激しい。これを後世に残すため、パソコン入力して保存する。予算六万ドル。
【日系人移民百年史の記念誌編纂およびビデオ制作】この百年間を分野ごとにまとめる。あわせて写真、映像をとり、DVD化する。〇六年四月から開始し、〇九年十月までにまとめる。記念誌は一万部、DVDは三千部。予算九十万ドル。
《シンポジウム》
【日本とブラジルの農業の変遷】1)世界、特にブラジルと日本における科学技術的進歩について。2)ブラジルの農業の発展に寄与する日本人の国内食料供給のためのモノカルチャーから、ポリカルチャーへの変遷。3)科学的、技術的改革について。4)二十世紀および二十一世紀当初の十年間における農産物の製品化と輸出向け農業製品の取引について。〇六年六月をめどに、日伯両国の最高学府の権威を招待し、国際シンポジウムを行う。予算は五万ドル。
【工業・労資の関係】「日本、フランスおよびブラジルをモデルにした比較研究」三カ国の複数の企業をピックアップし、科学、技術、グロバリゼーションの影響、工業関係への企画や投資に対する影響や労働力や雇用などを中心に論じる。〇六年の上半期に三カ国の代表的な大学関係者に集まってもらう。予算五万ドル。
【複合文化、異民族の関連および、同言語民族の相互性アイデンティティの問題点と、文化の相違点】1)アイデンティティの問題点と、同言語民族の相互性、民族と文化の相違点の研究。2)人種差別と偏見、異文化間の連帯および平和的共存形式について。〇六年下半期をめどに、欧州、北米、日本、ブラジルの関係研究者に集まってもらう。予算は三万ドル。
【十九世紀および二十世紀から今日にいたるまでの欧州、アジア諸国よりの移民、国内移住と再移住について】1)第一次、第二次の工業、農業革命による国際移動。2)第三次、第四次の工業革命と工業資本金、融資制度の国際化と同動力の急激な必要性(デカセギについての研究)。〇七年上半期をめどに。
【ブラジルと日本における宗教と信仰心】1)ブラジルおよび日本におけるいろいろな表現と日常生活上での重要性、ブラジル人と日本人の宗教上の重要性(家族生活、共同体、企業体、学会)の比較分析。2)西洋の宗教が及ぼす影響(プロテスタント、カトリック教義ほか)、東洋の宗教(仏教、神道その他)ならびにアフリカ系宗教(カンドンブレー、ウンバンダ他)。〇七年下半期を予定。
【精密科学の進歩と科学技術の改良】1)日伯両国における科学技術の改革と、情報交換の重要性。2)各分野における技術、基礎科学の進歩と日伯間の協力協定の分析。〇七年下半期を予定。
【持続可能な経済や社会の発展】特に生産管理、平等な発展政策的見地からみた英国系アメリカ、ヨーロッパ(仏、独系)、東アジア、特に日・中・韓系資本主義発展の比較分析。〇七年下半期を予定。
【美術・建築および文化】芸術一般の表現(演劇、絵画、工芸、陶芸など)を画家、陶芸家、建築家、文筆家、詩人、音楽家、民謡民舞家など、日伯の専門家を含めて行う。〇七年下半期を予定。
【教育と権利】日伯両国の教育システムと権利についての比較研究。初等教育から大学にいたるまでの日伯両国の教育システムの研究、両国での言語、文化、習慣、価値観ほかに類似点と相違点の研究。政治的、社会的権利の行使について。〇八年上半期を予定。
【百年間の日伯両国間の商工業の関連について】1)経済的な決算と見通し。2)日伯両国間で結ばれた商工業関係の協定。3)ブラジルにおける顕著な日本の投資について。4)商工両面への投資の経緯。FIESPや両国の経済団体代表、専門家などにより、〇八年上半期に開催を予定。
【日伯両国の外交政策、労働力、物資、価値、理念、知識、文化の交流】1)決算と展望。2)商工業経済文化および、科学技術を助成協力するための百年間の外交の重要性を分析し、意見交換を行う。両国の外務省関係者、国際関係専門家やUSP、UNICAMP、UNESPなどのサンパウロ州立大学はじめ、サンパウロ・カトリック大学、マッケンジー大学、ジェッツリオ・ヴァルガス大学、ブラジル連邦大学などの研究者も参加してもらう。
【21世紀におけるふるさと創生】(日伯両国間の文化交流)〇七年十月。サンパウロ。予算は一万五千ドル。
【先駆者、功労者表彰】百年を振り返り、日伯の交流、ブラジルの農業や医学・産業などの発展に対して貢献のあった人の中から、百人ていどを功労者として表彰する。〇八年一~二月に実施する。選考は、先駆者・功労者選出委員会が担当。予算は五千ドル。
【先没者法要】あらゆる宗教が合同で先亡者の法要を行うもの。〇八年六月に実施。予算は五千ドル。

■共催では駅伝、日本週間も

■共催事業■
 ※主催団体と百周年祭典協会が経費を折半する形で共催するもの。
【記念植樹】サンパウロ州政府などと打ち合せし、チエテ川の浚渫護岸工事が終わった後の川岸などにイペー、桜などを植樹する。〇五年九月から〇八年九月に実施。予算は十万ドル。
【日本文化と茶の湯、展示会】裏千家や生け花協会、書道、日本画などの団体、総領事館などで委員会を立ち上げる。実施時期は未定だが予算は五千ドル。
【笠戸丸移民の配耕跡地などの調査および修復、保全】第一回移民船、笠戸丸の移民はサンパウロ州の数カ所のファゼンダに配耕された。その一つ、グアタパラでは、当時使用した建物や道具の一部が残っており、これを調査し、修復のうえ保全、将来は展示も計画する。〇六年三月から順次、調査を開始し、〇八年三月までには終了したい。調査経費予算は一万レアル。
【漫画で綴る日本移民史の発刊】日本文化の一つとして親しまれる漫画を使って、青少年たちにも分かりやすい移民史を描き、刊行する。〇六年四月には開始し、〇八年四月には出版したい。予算は五万ドル。
【日本週間「日本文化展」】サンタカタリーナ州都フロリアノーポリス市の行っているもので、日本文化に関わる多くの展示やデモンストレーションを集める。〇八年五月。予算五万レアル。
【友情の灯―95キロ駅伝】日本からの移民船が出航した横浜、神戸の両港で各県の代表者が集い「友情の灯」を点火する。これを船でサントス港まで運び、サントス港からトーチにより駅伝形式で、サンパウロ州立移民記念館までリレーを行う。この「友情の灯」はその後、サンパウロの百周年式典会場へ運ばれる。〇八年一月から六月にかけて、日本からブラジルへと順次実行される。ブラジルでの予算は五万ドル。
【日本古美術展】日本政府の好意により、国宝級の美術品を多数展示する。会場はサンパウロ市内のピナコテッカ館が予定されている。時期は〇八年五月ごろから。
【日本週間の開催】〇八年六月二十一日のサンパウロ式典にあわせて、サンパウロ市アニャンビー国際展示場やサンボードロモで、集中的に日本週間を開催する。期間は〇八年六月。予算は未定。1)ブラジル日本都道府県人会連合会主催の「フェスチバル・ド・ジャポン」を行う。各県人会の協力により、郷土食や郷土芸能を豪華に披露する。2)日本の先端技術や工業製品の大見本市(展示会)。
【日伯両国の農産物、工業製品、工芸品の展示会】〇八年六月。予算は未定。

■大相撲、高校野球ほか支援

■支援行事■
 全十六のイベントが認定されている。主催団体が主体になって実施するもので、祭典協会は支援のみ。一部、アイデア程度のものがあり、実施されるかどうかは今後の進展しだい。
 1)大相撲のブラジル興行。2)日本の高校野球選抜チームの受け入れ。3)第十三回日系汎米スポーツ大会。4)ブラジル・日系ベテラン陸上大会。5)全伯射撃選手権大会。6)「移民の歌」祭典。7)日本の著名指揮者を招聘してサンパウロ州立オーケストラとともにコンサートをしてもらう。8)世界日系アマチュア歌合戦。9)宝塚ブラジル公演。10)二〇〇八年カーニバル・パレード参加。11)福祉関係の人材育成と派遣。12)日伯のグラフィック技術者の交流。13)カザロン・ド・シャーの修復工事(連邦と州の文化財にしていされており、すでに文化省から第一次助成金により復元工事が始まっている)。14)日伯具象絵画展。15)21世紀交流(ふるさと創生協会)。16)日伯両国でサッカー選抜チームで親善試合を行う。

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