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県連ふるさと巡り=日伯の絆たどる旅=ミナス・ES路を行く=連載《11・終》=ベロ・オリゾンテ=両手一杯に思い出抱え=日系団体の交流に大満足

ニッケイ新聞 2007年11月02日付け

 最終日のこの日はパンプーリャ地区の見学を行った。一行の中には少々淋しそうな顔をしている人たちもいた。
 同地区はブラジリア建設にも携わったオスカー・ニーマイヤー氏が建てた同広場内にあるサン・フランシスコ礼拝堂を見学。残念ながら入り口は開いていなかったので、外からの見学になった。
 同教会は一九四三年の建築。当時としては近代的すぎた建物だったために、十年ほど使用されなかった。共産党を示す釜と金槌が入り口に建てられていることも影響していたのでは、との話も伝えられている。
 続いて、九〇年代に時のローマ法王が来伯時にミサを行ったことに由来して作られた法王広場へ。大きな広場ではないが、当時は約百万人が詰め掛けたという。
 広場に程近い通称ピーナッツ通りは、周りの景色の傾きにより、ブレーキを離すと坂を後ろ向きに上がっていく不思議な道だ。バスが後ろ向きに上がっていく光景を目の当たりにした一行はバスの中から大歓声を上げて喜んだ。
 最後の観光を終えた一行は市内をバスで見学後、最後の昼食を取るためシュハスカリアへ。腹ごしらえを済ませた一行を乗せたバスは、ゆっくりとサンパウロへ向かって走り出した。
 今回のふるさと巡り参加者の中で最高齢の小原あやさん(86、岩手県)は「五六年にパンプーリャ地区を、六九年にはミナスを訪れた。当時からはすっかり変わってしまったね」と淋しそうな表情で話した。小原さんと一緒に行動していた久保昌子さん(84、愛知県)は「ヴィトリアの街並みが綺麗だった。各協会とも面倒なことなのによくもてなしてくれて嬉しかった」と満面の笑みで語った。
 二十回目の参加を数える冷水秀策さん(73、愛知県)は「毎回楽しみにして参加している。イパチンガが楽しかったな」と旅の思い出を振り返る。今回初参加の羽山奈々美さん(北海道)は「小さい頃からクリスチャンの学校だったので、教会はたくさん」と疲れた様子。しかし、「ウジミナスとセニブラの説明が良かった。どこへ行っても日本人がいることに驚いた」と感想を語った。
 車椅子で参加していた及川君雄さん(70、岩手県)は「自分の知らない協会を見るのが楽しい。ベロの文協は前向きに進んでいるね」と顔をほころばせ話した。八八年の第一回から参加している和田一男さん(83、奈良県)は「もうふるさと巡りの写真だけで山積みさ」と笑い、「ヴィトリアで見た三味線は素晴らしかったね」と感動した様子だった。長友契蔵団長は「大きな事故もなくこの旅が終わるのが一番良い」と表情を引き締めていた。
 サンパウロ市到着目前のドゥトラ街道で一号車のブレーキが故障することもあり、到着予定時刻を二時間ほどオーバーしたが、けが人もなく無事到着した。「また会いましょうね」と固く握手をしたり、抱き合ったりして、この旅で出会えた仲間に感謝の言葉を掛けながら各自の家に戻っていった。(おわり、坂上貴信記者)



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