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リオ五輪まで240日切る=会場やインフラは大丈夫?=(4・終)=強盗は日本の500倍多い=24時間緊急窓口を設置へ

五輪をテーマにしたコパカバーナの砂の造形

五輪をテーマにしたコパカバーナの砂の造形

 11月19日午前にはリオ日本商工会議所との交流機会が持たれ、在リオ総領事館の山下祥領事(五輪パラリンピック担当)と永田浩之領事(治安担当)が治安について注意を促した。
 警察庁からの出向で、テロ・治安対策を担当する永田領事は、「リオ州の殺人事件数は02年の6885件から10年後、4081件まで減少したが、昨年は4942件まで増加した」と説明した。強盗事件は過去10年、12万件ほどで推移してきたが、「昨年には15万7998件という数値に。その内、路上強盗は約半数の8万件を越えている」と話した。
 犯罪発生総数は昨年、82万6368件。毎年約5%ずつ増えているが、「犯罪総数は被害届けの数でもある。この増加は警察に対する信頼が厚くなっているとも捉えられる」とし、犯罪数の純増とは言い切れないとの見方をしめした。
 これらの傾向について、「最近の増加はファベーラ掃討作戦の影響かもしれない。麻薬密売が困難になったファベーラ住民や貧民層が、路上強盗を繰り返しているという見方もできる」とした。
 注意喚起のため同館は、7月から在留邦人向けにメールマガジンの配信を開始。サイト(www.rio.br.emb-japan.go.jp/nihongo/)から登録するように勧めている。
 日本からの五輪来伯者数はまだ不明としながら、「大会中はリオの空港にブースを設置する。注意喚起のチラシを配り、離日前にも安全対策の呼びかけができる体制を作らないと。当館も24時間体制で窓口を設置して緊急連絡に応じる」と安全対策に備える意向だ。
 続いて日本との比較へ。リオ市と日本の治安環境を比べると、1万人当たりの強盗発生はリオ123件、日本は0・24件で、なんと512・5倍。殺人事件も1万人の当たり昨年は1・9人が殺害されており、日本の0・08人と比べると23・75倍だ。
 現地ガイドはそうしたデータを引用し、「シダーデ・マラヴィリョーゾ(魅惑の都市)とされるリオだが、約8万人収容のマラカナン・スタジアムに全市民が年1回集って、何人か殺される罰ゲームを必ず受けなければいけない」と苦笑い。冗談交じりに例えるが、〃現実〃だから聞いている方も笑えない。
 最後はそのマラカナンに立ち寄ってガレオン空港へ。道中はロゴマークや公式ショップが見当たらず、五輪を迎える雰囲気はほぼ感じられなかった。2月のサンバカーニバルが終わってから、本格的に五輪に関心が向かうようだ。工事の遅れと共に、何事も直前にならないと本腰が入らない――のもまたブラジルらしい。(おわり、小倉祐貴記者)

 

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 意外なことに「リオのタクシーは比較的安全」とされている。意図的に遠回りしたり、大目の金額を要求することはあるが、在リオ総領事館によれば「誘拐などの可能性は少ない」とか。「誘拐されないから安全」という〃基準〃もかなりブラジルっぽいか。ただし乗車の際は「写真付きの証明書、メーターの確認をお忘れなく」とも。街中には流しタクシー「Executivo」(いわゆる白タク)という形態の車も。「普通のタクシーよりも安く済むよ」との誘い文句であるが、「安全はお金で買う」のが当たり前のブラジルゆえ、「判断は自己責任で」ということになりそうだ。

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