《ブラジル》労相指名取消に刑執行問題=最高裁長官に新たな圧力
ブラジル労働党(PTB)が20日、クリスチアネ・ブラジル下議の労相指名取り下げを決めたと20、21日付現地紙・サイトが報じた。
クリスチアネ氏の労相指名は1月3日に行われたが、同月8日にリオ州の連邦裁判所が就任を差し止めた。これは、クリスチアネ氏が非正規雇用していたお抱え運転手に長時間労働を強いた事などで、6万レアルの支払を命じられていた事と、別の運転手とも調停が成立していた事が明らかにされ、労相に相応しいかが問われたものだ。
同氏の就任差し止め問題は最高裁まで行き、カルメン・ルシア長官が就任差し止めを継続すると共に、同件は最高裁が扱うと宣言した。
クリスチアネ氏はカーニバル前に最高裁が結論を出すよう要請していたが、同件の審理日程は現在も未定で、PTB党首で同氏の父のロベルト・ジェフェルソン氏が20日、カルメン長官が優柔不断である事を批判しつつ、クリスチアネ氏の指名を取り下げた。
テメル大統領はこの時点でもクリスチアネ氏指名を維持する意向でいたが、21日にPTB党首や同党下院リーダーとの会合で、3月末か4月頭の内閣改造まで、労務省副大臣で労相代行のエウトン・ヨムラ氏を続投させる事にした。
一方、20日はもう一つ、最高裁長官に圧力をかける出来事が起きた。最高裁第2小法廷が、第2審後の刑執行問題を大法廷に送る事に決めたからだ。第2小法廷はこの日、ブラジル弁護士会(OAB)が提出した2件の人身保護令適用に関する審理を行ったが、その際、エジソン・ファキン判事が、刑執行の時期に関する審理を大法廷に送るよう要請し、他の判事らも賛同した。
カルメン長官は1月、同件は既に審理済みで、再度取り上げる意思はないと明言している。しかし、ファキン判事は2週間前にルーラ元大統領からの人身保護令適用要請を拒否、同件を大法廷で審理するよう手配した。この人身保護令は、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を巡る第2審に対する抗告が棄却され、大統領選前に投獄されるのを避けるためのものだ。ルーラ氏は20日に第4地域裁に抗告した。
カルメン長官は同件についても審理日程を組んでいないが、内外の関心はいや増している。