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伯国スタートアップに注目=日本の投資ファンド関心強める=初フォーラムに起業家ら集結

解説中の中山代表

解説中の中山代表

 ブラジルベンチャーキャピタル社(中山充代表)が11月23日、聖市内のホテルで伯国のスタートアップ(新しいビジネスモデルを作って、短時間で急激に成長することを狙う事業グループ)の概要を紹介する『第1回ブラジル・ジャパン・スタートアップ・フォーラム』を開催した。日伯のベンチャーキャピタル(高い投資利益を狙ってリスクの高い投資をするファンド、以下VC)企業のほか、伯国のスタートアップなどが参加し、日伯の新興企業についての知見を広げた。

 同日午前には日本から参加したヤマハ発動機株式会社の白石章二先進技術本部NV事業統括部長、インターネット系VCの株式会社サイバーエージェントベンチャーズの北尾崇インベストメント・マネージャー、楽天ブラジル社のアベ・レネ代表が登壇し、各社の紹介を行なった。
 創業直後の企業に対し投資を行なうアクセラレーター2社のほか、JETROサンパウロ事務所から日本のスタートアップ市場についての説明の他、自社の投資プログラムなどについて説明が行なわれた。
 午後からはフィンテック(情報技術を組み合わせた金融サービス)、アグリテック(情報技術やロボティクスなどを応用した農業)分野のスタートアップについての概要説明、参加企業各社の事業紹介となった。
 フィンテックの概要説明は中山代表から行なわれた。伯国のスタートアップは2017年半ばからNASDAQに上場しはじめ、現在までにフィンテック企業を中心とした7社が上場した。また、伯国のスタートアップ全体でも決済系、資産管理系のフィンテック企業が多い。
 手軽な申込でカード決済機器を提供するStone社からマルコス・アフォンセッカさんも登壇し、同社の紹介を行なった。同社は2012年に創業し、今年10月にNASDAQ上場、企業価値約90億ドルを記録し伯国スタートアップの羨望の的となった。
 その後、農業分野のスタートアップに積極的な投資を行なっているVCのSPVentures社のフランシスコ・ジャルジンさんが伯農業の概要を紹介。米中貿易戦争による伯国からの輸出状況などを踏まえつつ、伯国経済を支える農業のビジネスチャンスについて説明した。
 ほか、農場にセンサーを設置することで気候などの情報配信を行なうAgrosmart社などが事業を紹介した。
 イベント後取材に応えた中山代表は「企画時は実現するかわからなかったが、参加者が興味深げに聴いていて安心した。小さくはじめて大きくなっていけば」と期待した。
 前日には投資家向けのプレイベントが行われ、米州開発銀行や伯資本市場研究所(Insper)など、招待された投資家らが日伯新興企業の概要を紹介しあい親睦を深めた。同フォーラムの2回目は来年9月27日に予定されている。


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 伯日スタートアップ・フォーラムでは現地社員の採用法についても説明があった。ヤマハ発動機株式会社の白石さんは「ヤマハは社員や製品、技術など既存のリソースをどう動かすかが大事になるので、『やりたいこと』への共感を大事にしている」。また楽天ブラジルのアベさんには「日本人と一緒に働く中でうんざりすることは?」という質問も。アベさんは「楽天は海外展開に積極的なので日本的な雰囲気を持ち込むことはなかったが」と前置きしつつ、「日本と全く違う文化や税制度などについての説明に手間取ることもあった」と明かした。海外出張の際は文化、商習慣面の下調べも入念に。
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 同フォーラムにビデオメッセージを送ったアクセラレーターのプラグアンドジャパン社は26カ国に拠点を持ち、毎年400社以上のSU支援を行なっている。先日第4期募集の最終選考が終わり、伯国のスタートアップ「Mediar」が選ばれた。リテールテック(小売事業にIT技術を導入すること)事業を行う同社は、監視カメラにより購買者の情報を収集、販売増加に繋げる情報サービスを提供している。伯国のスタートアップと日本の投資企業が繋がった一例。今後も伯国のスタートアップの動きに注目?

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