ホーム | 日系社会ニュース | 「餅は搗かれ叩かれ味が出る」=激動の年の暮れ、餅つき祭り

「餅は搗かれ叩かれ味が出る」=激動の年の暮れ、餅つき祭り

餅つきに参加する野口泰在聖総領事、キム・カタギリ下議、池崎会長

餅つきに参加する野口泰在聖総領事、キム・カタギリ下議、池崎会長

 大晦日のサンパウロ市風物詩、リベルダーデ文化福祉協会(ACAL、池崎博文会長)が主催する第48回餅つき祭りが、31日午前9時からリベルダーデ日本広場で開催され、2万袋の紅白餅が配られたほか、グローボ局が昼のニュースSPTVで生中継した。
 まず来賓らが順番に餅つきに参加し、初出馬で46万票を獲得して当選した話題のキム・カタギリ次期連邦下議もなれない手つきながら積極的に搗いた。
 サンミゲル・パウリスタの天竜和太鼓とACAL太鼓部メンバーが、元気いっぱいに移民百周年記念曲「絆」など3曲を合同演奏した。

挨拶する池崎会長

挨拶する池崎会長

 開幕式では池崎会長が演台で来賓を紹介、「2万袋を配るなど、餅つきイベントとしては世界最大」と位置づけ、「旧年中は広場名とメトロ駅名を改名してもらったことに、心から感謝したい。餅が意味する平和と調和をもって、この広場で日本文化普及を続けたい」との抱負をのべた。
 続いて野口泰在聖総領事が「ブラジルでは新大統領が就任するが、日本でも4月に天皇陛下が退位され、5月に新しい陛下が即位される。ともに大変化を迎える両国の関係がさらに深まる1年でありますように。そしてコッパ・アメリカで来伯する日本代表サッカーチームを応援してください」と呼びかけた。
 山下譲二文協評議員会長は「7月には眞子内親王殿下をお迎えして無事に110周年を祝うことができた。餅は、何度も搗かれて叩かれて、ようやく味わい深くなる。この大変だった年の暮れだからこそ、そのような日本伝統の餅を食べることに意義がある。このような行事を継承し続けるACALに心から感謝する」と語った。
 カタギリ次期下議は「日本文化が持つ勤勉さ、忍耐強さ、勤勉さを象徴する食べ物が餅。たとえ多くの困難が新年に待ち構えていても、この精神で乗り越えましょう」と呼びかけた。
 ブラジル長崎県人会青年部による勇壮な龍踊りが披露された後、来賓らは茅の輪をくぐって、南米大神宮の逢坂和男神主によるお祓いを受け、罪穢を浄化して新年に迎える準備をした。

東洋会館で乾杯する主催者と来賓

東洋会館で乾杯する主催者と来賓

 来賓やボランティアら約100人は東洋会館に移動し、改めて式典に。網野弥太郎ACAL評議員会長が一年の総括をし、特に活躍した3人として野口総領事、菊地義治110周年実行委員長、池崎会長を挙げ、「移民150周年、200周年と永久に行事が続けられますように」との期待をのべた。
 「蛍の光」や「1月1日」などが合唱され、与儀昭雄援護協会会長が音頭をとって乾杯、御雑煮に舌鼓をうった。
 30年間欠かさず茅の輪くぐり設営を手伝いにソロカバから来ている早川量通さん(75、北海道)は「朝4時のオニブスで来た。一年の穢れを祓う神道の大事な行事。手伝い甲斐があります」と頷き、御雑煮を美味しそうに頬張った。
 餅つきを手伝ったリベルダーデ・ラジオ体操会の鹿又(かのまた)信一会長も、「日本を離れてちょうど60年。ACALのイベントは花祭り、七夕、東洋祭り、餅つきといつも祖国を思い出させてくれる。と同時にブラジル人に日本文化を紹介するとてもいい機会になっている」と頷いた。

来賓においしいお雑煮などを準備したACAL舞踊部の皆さん

来賓においしいお雑煮などを準備したACAL舞踊部の皆さん


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 尾西貞夫ACAL元会長によれば、「48年前、『ゆく年くる年』の番組でサンパウロから生中継をするからNHKが『何かやってくれ』と依頼してきたのを受け、当時の水本毅会長が餅つき祭りを始めた。今ではすっかりサンパウロ市の風物詩になっているが、そんな歴史があることをもっとみんなに知ってもらった方が良い」と語っていた。舞踊部(池芝流日本舞踊教室)メンバーと共にお雑煮や年越しそば、ゼンザイなどを準備した池芝緑苑代表は、「今年から新しくミニ門松を作って売り始め、みごと100個を完売した。グローボTVのアナ・マリア・ブラーガが気に入って、番組で紹介してくれたらしいわ」と喜んでいた。

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