ホーム | 特集 | 【2020年新年号】 | 【2020年新年号】未来を見据えて事業拡充=皆様のおかげで安定した運営=60周年迎えた援協の活動概要

【2020年新年号】未来を見据えて事業拡充=皆様のおかげで安定した運営=60周年迎えた援協の活動概要

2019年12月11日に行われた日伯友好病院新病棟の定礎式。左から佐藤JICA所長、与儀援協会長、山田大使、野口総領事、石川文協会長

 1959年1月28日に創立したサンパウロ日伯援護協会(援協、与儀昭雄会長)は、皆様方の多大なるご協力とご理解のお陰をもちまして、安定した運営を継続しております。昨年12月には、日伯友好病院の新病棟(6階建て、日本式なら7階)と自閉症児療育施設(PIPA)の新館を建設するための定礎式もそれぞれ行われ、より良いサービスの拡張と患者受入態勢設備の強化を図っていく考えです。また、このたび、日伯友好病院としては国外初となるカナダの国際認定機関(Accreditation Canada)から「QMentum」表彰を受けるなど、日系社会のみならず、ブラジル社会への貢献をさらに拡大していく所存です。

【はじめに】
 援協は戦後移民の援護を当初の目的として創立されましたが、現在の援協がさらに発展・存続していくためには、「公益社会福祉法人」としてブラジルでの社会的責任を遂行する義務があり、一般のブラジル人も対象にすることが必要となってきました。
 ブラジル社会の一員として、日本人・日系人とブラジル人が対等の関係で成り立っている今日、援協は社会的弱者の援護はもとより、ブラジルの一般社会に貢献する団体として活動することが求められ、実践しているのです。
   ◎   ◎
 従来の援協は社会福祉事業と医療事業とで展開してきましたが、2019年にすべての社会福祉事業は「日伯福祉援護協会」に移管し、現在の援協(サンパウロ日伯援護協会)は医療事業に特化した組織となりました。両組織の事業詳細は次の通りです。

【日伯福祉援護協会・社会福祉事業】
◆福祉部

 福祉部は生活相談(健康、就職、家族問題、金銭トラブルと法律問題等)をはじめ、各種援助(生活資金、医療品、長期入院と医療)、長期介護施設の入居情報、デイサービスセンターでのイベント希望者を対象に活動しており、職員の教育と技術向上を目的とした講演会も実施しています。
 2010年には、家にこもりがちな高齢者に快適で安全な交友の場を与えることを目的に、デイサービスセンターをサンパウロ市リベルダーデ区ファグンデス街にある「援協社会福祉センター」3階に設置。
 図書室、トランプ、将棋、碁などの卓上遊戯をはじめ、健康に関する講演や運動など約30におよぶ各種活動は高齢者の健康、体力の向上、頭の働きの活発化などを目指しています。また、路上生活者、生活困窮者、身寄りのない知的障がい者などを対象とした邦人保護活動も実施しています。
◆サントス厚生ホーム

サントス厚生ホーム

 最も歴史が長い5階建ての高齢者保護施設サントス厚生ホームは、自立している、もしくは自立度の高い60名の高齢者を受け入れることが可能です。入居者の個性や人生観を尊重しながら、各人に合った人道的な介護サービスを提供。舞踊、手芸、俳句、コーラス等のレクリエーションや、作業療法に関連した活動を日常的に行っています。
 また、秋祭り(3月)、フェスタ・ジュニーナ(6月)、春祭り(9月)を毎年、開催しています。
◆カンポスさくらホーム

カンポスさくらホーム

 援協本部から180㎞離れたカンポスさくらホームは、「ブラジルのスイス」と呼ばれる観光地カンポス・ド・ジョルドン市に所在し、自然に囲まれた好条件の施設内で自立して日常生活が営める、もしくは自立度が高い60歳以上の高齢者の介護を行っています。同市の通所介護施設としての機能も持ち、医療及び介護専門のスタッフが入居者の自主性と自立性を高め、活発で健康的な老後を過ごせる活動やサポートを行っています。
 毎年7月から8月にかけて行われている「さくら祭り」は2018年に50回を迎え、同市の無形文化遺産に登録。これを記念して造園された日本庭園が開園しました。
◆あけぼのホーム

あけぼのホーム

 援協本部から40㎞離れた、日系社会で初めての特別養護老人施設「あけぼのホーム」は、自立して日常生活を営めない、もしくは自立度が低い寝たきり高齢者などの介護を行っています。日常生活の動作が不自由な方でも豊かな老後生活を過ごしていただけるように24時間体制の特別介護を行っており、医療及び介護専門スタッフが適切なサポートを実践しています。
 また、同ホームには夫婦で住めるコテージ施設(8棟)も完備しております。
◆イペランジアホーム

イペランジアホーム

 援協本部から66㎞離れたイペランジアホームは、日常生活の自立度が高い60歳以上を主な対象として受け入れており、豊かな緑に恵まれた自然環境の中で、入居者が好きな作業を行いながら余生を過ごせることが大きな特徴です。1人用と2人用の個室があり、理学療法士、作業療法士、栄養士、医師、看護師を含む専門スタッフを完備し、入居者の社会参加及び精神・体力の向上を図っています。
 また、園内には山形県川西町原産の80種類のダリアと、イペーや桜の樹木などが植えられており、入居者や訪問者の目を楽しませています。
◆奄美事業所
 サンパウロ市ビラ・カロン区で、地域青少年の社会教育・非行防止と高齢者対応を当初の目的に活動していた奄美事業所は2019年7月に終了しましたが、今後は新しく高齢者のデイサービス・センターとして生まれ変わることが予定されています。
【サンパウロ日伯援護協会・医療事業】
◆リベルダーデ医療センター

援協社会福祉センター

 サンパウロ市リベルダーデ区ファグンデス街にある「リベルダーデ医療センター」は、最新の医療設備とハイテク医療機器を備えた先端医療環境を実現し、25の専門分野で70人の医師が診療を行っています。また、高質な通院診療をはじめ、歯科診療、人間ドックのサービスも提供しております。
 2019年には援協創立60周年記念謝恩キャンペーンとして、医療保険に加入していない60歳以上を対象に、通常200レアルの診察料金を19年末まで50レアルで提供。同キャンペーンは20年も継続されることが決定しています。
◆日伯友好病院

日伯友好病院

 移民80周年の1988年に開院した日伯友好病院は個室、病室、集中治療室を合わせた243床を備えており、40を超える専門診療科ではそれぞれの優秀な医療チームが的確で信頼のある検査と治療を提供。成人診療および手術、MRI検査、超音波検査、心臓内科、産婦人科、整形外科、小児科を含む24時間体制の急患対応診療も行っています。2013年には、ブラジル優良病院認定協会からサービスの品質及び安全面での最高認定を獲得し、現在も維持しております。
 18年には同病院のサービスの拡張と患者受入態勢設備を改善することを目的とした新病棟の建設プロジェクトが立ち上げられ、建築面積1万1617平米、7階建ての新病棟を建設するための定礎式が援協創立60周年の記念事業として19年12月11日、現病院に隣接する建設予定地で開催されました。
◆サンミゲル・アルカンジョ病院

日伯友好病院新病棟完成予想図

 援協本部から185㎞離れたサンミゲル・アルカンジョ病院は2013年8月、SUS(統一医療保険制度)に登録している患者を対象に、安全で質の高い医療を提供することを目的として開設されました。
 日本人及び日系人が数多く住んでいる同市の協力を得て、自己資金を用いて同病院を建設するに至りました。より快適でより良い医療を目指して、15年5月には同病院敷地内に救急診療所を開設。現在、50床を完備し、入院、急患診療及び中難度手術の診療を提供しています。
◆PIPA
 自閉症児療育施設(PIPA)は、日常生活療法(TVD)専門家の三枝たか子氏の指導とJICA(国際協力機構)の協力により、自閉症スペクトラム障害(TEA)と医療診断された子供たち(入所年齢は5~9歳)を対象に、日常生活療法に基づいた療育を行っています。
 2010年3月からは日伯友好病院周辺のサンパウロ市パルケ・ノーボ・ムンド区にある同施設に移転し、援協の傘下施設として活動。14年10月には医療専門スタッフを持つ医療施設となり、現在、サンパウロ州厚生局と連携して40人の子供の療育を行っています。その結果、PIPAを卒業した2人の青年が日伯友好病院の職員に採用されるなど、効果も上げています。
 19年12月4日には、PIPA新館定礎式がパルケ・ノーボ・ムンド区の新館建設予定地内施設で開催され、将来に向けた活動が期待されています。
◆巡回診療
 JICAの支援を受けながら継続している巡回診療は、日本語での診療対応を望む高齢者が主な対象で、過去にはブラジル全土を巡回していました。現在は法的規制により他州で医療活動を行う際の医師免許が必要となり、サンパウロ州のみの巡回となっていますが、サンパウロ市の都心、各都市圏、奥地地域を回り、診察と検診を実施。慢性疾患予防、健康維持、食事療法の指導も行っています。

新しい時代に向けて

日伯友好病院の1、2、3、4期工事

 2019年12月、援協は未来に向けた活動として、日伯友好病院の新病棟とPIPAの新館を建設するための定礎式をそれぞれ行いました。特に、日伯友好病院の新病棟建設プロジェクトは、援協が今後も末永く活動していくためには欠かせない計画です。同プロジェクトでは、周辺に点在する30余りの診療所全てを病院本部ビル内に集約して一元管理するとともに、手術センターの拡充、最新鋭のトモグラフィー(CTスキャン)、移動式レントゲン機器、乳がん検査機器、NMR装置(核磁気共鳴装置)等の導入、さらには病院本部ビル内の配置転換を行い、なお一層の機能の効率化と利便性の向上を図る狙いがあります。
 また、日伯友好病院はこのたび、国外初となるカナダの国際認定機関から「QMentum」表彰を受けることになり、今年20年中に、その表彰式が執り行われる予定です。
 援協は絶えず、日系社会とブラジル社会の時流を見据えた組織体制作り、事業再編成を行い、援協精神の原点である「高齢者及び社会的弱者の救済援護」事業を充実・発展させていくために引き続き、努力・精進してまいる所存です。援協が今日あるのは、皆様のご協力の賜物です。今後とも同様のご協力とご理解のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

日伯友好病院の4期拡張予定地

image_print

こちらの記事もどうぞ