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《ブラジル》コロナ禍=IBC‐Brが統計開始以来、最大の落ち込み=経済への悪影響続々と数字で=経済基本金利2・25%に

既存病院に感染者専用病棟を作るなどのコロナ対策も行われている(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、国内総生産(GDP)の先読み指数とされる中銀の経済活動指数(IBC‐Br)が大幅に低下するなど、経済面に大きな影響が出ている事を示す数字が出ていると、17、18日付伯字紙、サイトが報じた。
 18日夜の保健省発表による死者数は1238人増(計4万7748人)、感染者数は2万2765人増(97万8142人)で翌19日には100万人になりそうな勢いを保っている。16日は死者が365人増え、1日の増加数の記録を更新したサンパウロ州は、17日も389人で新記録となったが、感染者増は1232人に止まった。感染者増をけん引したのはセアラー州の3678人やリオ州の3620人で、パラー州でも2949人増えた。
 ブラジルでは社会隔離の導入が遅れた上に中途半端であったため、感染者増で操業を停止した工場や経済活動の低下で売り上げが激減した業種、会社更生法の適用を求める企業といった報道が続き、経済への影響が徐々に深刻化している。
 失業者や非正規雇用者、零細小企業、母子家庭などを救済するための緊急援助金は、追加承認分の第1回目の支給と最初に承認された人への第3回目の支給がほぼ同時に始まった上、現在も審査待ちの人が多数いる。この事は、業績悪化や倒産などで起こる従業員解雇が後を絶たず、受給対象者の増加が続いている事を示している。
 年末時点のGDP成長予想やサービス業の業績低下、失業者増加については弊紙でも報じたが、17~18日には、経済基本金利(Selic)切り下げ、4月のIBR‐Brの大幅低下といった報道が続いた。
 Selicは、15日に発表された金融機関対象の経済動向調査フォーカスの予想通り、年3%から年2・25%へ切り下げられた。基本金利切り下げは8回連続で、年2・25%は、1999年の導入以来最小だ。今回の切り下げで、インフレ率を差し引いた実質金利はマイナスとなった。

緊急援助金の支払いを担当する連邦貯蓄銀行(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 今回の切り下げの背景には、今年のGDPが政府予想で4・7%、市場の予想では6・5%という、大幅な落ち込みが予想されている事や、インフレが低率に抑えられている事がある。
 地理統計院が発表するGDPは、第1四半期に1・5%落ち込んだ。第2四半期は更に落ち込む見込みで、18日発表の4月のIBC‐Brが前月比マイナス9・73%だった事は、この予想を裏付ける形となった。
 IBC‐Brは農業、工業、サービスの3部門と税収のみで算出され、GDPとは算出方法が異なる。IBC‐Brは1月と2月に前月比で0・06%と0・31%の成長を記録したが、3月は既に、コロナ禍の影響で6・16%落ち込んでいた。昨年同月比での落ち込みは15・09%で、いずれも、2003年の統計開始以来、最大の落ち込みとなっている。

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