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これから“ワクチン戦争”がはじまる?

ワクチンのイメージ(Tania Rego/Agencia Brasil)

ワクチンのイメージ(Tania Rego/Agencia Brasil)

 11日、ロシアのプーチン大統領が自国で開発したワクチン「スプートニクV」をコロナウイルス予防用のものとして公式に認めた。これは良くも悪くも、「コロナ対人類」の次の段階に入ったようにコラム子には映った。
 このスプートニクVは、世界保健機関(WHO)の定める治験段階を2段階飛ばして強引に承認された。当然、これを接種することで生じかねない「薬害」の方が怖いレベルといえる。それこそ「クロロキン」を奨励しているボウソナロ大統領のそれと大差ないだろう。
 だが今回、プーチン大統領が「ワクチン」として承認したことが、今後かなり効いてくるような気がコラム子にはしている。やはり、「コロナ専用に作った」とされる名義上の「目的」はすごく大事なもので、それは基本が「抗マラリア剤」として使用されているクロロキンよりは、やはりイメージの問題としてはどうしても上にはなる。
 おそらくここから先はいろんな国が「おらが国のワクチン」を名乗り始めることになるのではないか。そんな世界統一規格が守れないようなことだと本当はいけないことなのだが、世界中の人たちがそうも言っていられない、人類史上稀に見る狂気の時代。「倫理」よりも「本音」が上回る事態は十分に起こりえるだろう。
 それはワクチン開発国に限ったことではなく、開発国からのワクチンを首を長くして待っているブラジルのような国でさえそうであり、すでに水面下で競争がはじまっている。パラナ州は早速ロシアのワクチンを実用化すべく動いている。
 かねてから中国びいきで知られるジョアン・ドリアサンパウロ州知事は、中国のワクチンの実用化への希望を早くから口にしている。そしてボウソナロ大統領は、犬猿の仲のドリア氏や中国への反感からか、オックスフォード大学が開発したイギリスのワクチンに高い期待を寄せている。
 これに関して言えば、国、地方関係なく仁義なき戦いが繰り広げられそうな気がする。「国内の地域ごとに別ワクチン乱立」ということにもなりかねない。
 先週、このコラムでWHOがワクチンに慎重、あるいは悲観的であるとの旨の記事を書いたが、彼らとしては、これから激化が予想される「ワクチン戦争」を牽制したい意図があったのかもしれない。
 ただ、こればかりは、わらをも掴む思いでなんとかしたいのは政治の長だけでなく、民衆も同じか、それ以上の思いであろうから「コントロールしろ」と言ったところで収まりそうな気はしない。事態はそれくらい切羽つまっているのが現実だ。
 コラム子自身も、受けられるものなら早く接種してしまいたいというのが本音だ。逆に、一番起こってほしくないのは、利権争いが激化して、国や自治体の長たちがお互いを妨害してつぶしあうことで、なかなか接種ができなくなるような事態だ。あくまでも民衆のことを最も尊重した行動をお願いしたいものだ。(陽)
 

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