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《ブラジル》大使交代要求を中国が2度無視=大統領三男や外相と激しく対立

ヤン・ワンミン駐伯中国大使(CNJ)

 駐ブラジル中国大使の交代を求めるブラジル政府からの要請を、中国政府が2度拒否していたことが明らかになった。同大使は、大統領三男エドゥアルド下議の度重なる中国批判に対する不満を表明し、対立を続けている。14日付現地紙サイトが報じている。
 ブラジル側が中国側に交代を求めたのは、ヤン・ワンミン大使だ。同氏の交代は、アラウージョ外相に乞われた在北京ブラジル大使とボルソナロ大統領が、昨年4月と11月に求めた。中国側はこの要求を無視し続けており、ヤン氏は依然としてブラジル大使のままだ。
 ヤン氏とアラウージョ氏との対立は昨年3月にさかのぼる。この時はエドゥアルド下議が、中国政府を1986年のチェルノブイリ原発の放射能汚染の際のソ連政府と比較し、(新型コロナのパンデミックに関して)「大事なことを隠している」と発言。ヤン氏がこれに激怒し、大使館の公式サイトで「同下議は精神的なウイルスに感染している」と批判したため、外交官同士の間にも対立が生じた。
 この際は当時のアブラアン・ウェイントラウビ教育相が中国人のポルトガル語をからかう形の人種差別をまじえて中国陰謀論を唱え、火に油を注いでいた。この時点でアラウージョ外相は、北京駐在のブラジル大使パウロ・エスティヴァレット・デ・メスキッタ氏に頼み、ヤン氏を更迭するよう中国政府に要求した。

 昨年11月には、中国の通信大手ファーウェイ社がブラジルと5Gの契約を望んでいることに関し、エドゥアルド下議が「ファーウェイは中国のスパイ機能を果たしている」と批判。これにヤン氏が不満を表明。この時はボルソナロ大統領がアラウージョ氏に頼まれて交代を要求している。だが、人事異動は起こらなかった。
 アラウージョ外相は昨年3月の出来事で中国との関係を絶っており、昨年7月に中国政府が中南米諸国を招き、コロナ対策で支援金を出すという会議を行った際も無断欠席した。
 エドゥアルド下議やアラウージョ氏が中国との関係を悪化させたことは、同国からのコロナワクチンの原材料輸出にも影響。中国は「ワクチン外交」によって反撃を試みていると一部で見られている。事実、同国外務省の許可が滞ったため、1月にはブラジル国内でのワクチン2種の生産が停止に至りかねない危機的状況も発生していた。
 中国と親しい繋がりを持つ閣僚やサンパウロ州政府などによる交渉で状況が動き、ワクチン2種の原材料は今月に入ってやっと到着。ブタンタン研究所での生産活動は大きな遅れもなく進んでいる。一方、大統領が期待していたオズワルド・クルス財団(Fiocruz)でのワクチン生産開始の方は大幅に遅れ、国内各地でワクチンの在庫が不足し、予防接種キャンペーンを一時中断するという事態が生じている。

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