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《ブラジル》分解して食べられる容器開発=バイオプラスチックに注目集まる

澱粉で作り、食べられる容器や匙(Divulgacao/Oka Embalagens)

 地球温暖化の深刻化で環境にやさしい製品や政策が注目を集める中、様々な原材料のバイオプラスチックの開発が進んでいると2日付G1サイトなどが報じた。通常のプラスチックは石油化学製品だが、バイオプラスチックは植物や動物を原材料として作られる。
 サトウキビを原料にして作るから環境にやさしいが、車の燃料としか思っていない人が多いエタノール、食材としてしか見た事がないキャッサバ(マンジョッカ)やトウモロコシ、オレンジ、エビなどが、袋やスプーン、コップなどに姿を変えると考えた事はあるだろうか。
 バイオプラスチックは再生可能な原材料を利用しており、製品の中には食べられるものもある。また、新型コロナ感染症の患者を助けるために使われている製品もある。
 ただし、バイオプラスチックには石油系プラスチックほどの耐久性がなく、容易には分解しないものもある。微生物の働きで分解する際、メタンガスや二酸化炭素ガスが発生するのも難点だ。
 バイオプラの容器類製造では大量生産が難しいとか、石油系プラスチック製品を使う時以上の数の機材が必要となるなどの問題にぶつかる可能性もある。リサイクルできる品もあるが、品質が落ちるため利点は少ないという。
 それでも、バイオプラスチックやバイオ技術を使った容器類の需要は世界規模で増えており、開発や製造を手掛ける研究者や企業は引きも切らない。

バイオプラスチックでできたスプーンやフォーク製品(Scott Bauer, Public domain, via Wikimedia Commons)

 日常的によく見かけるのは、菌やバクテリアといった微生物が分解を助けてくれる「生分解性(biodegradável)」と書かれたレジ袋だ。
 普通のプラスチックは生分解性がなく、自然に朽ちるには100~500年かかるが、大半のバイオプラスチックは8カ月~2年で分解される。例外的なものは、サトウキビで作るエタノールが原料で、果物の保存などにも使う「緑のポリエチレン」で、朽ちるのには最大で400年かかる。
 他方、キャッサバなどの澱粉だけで作るバイオプラスチックは、廉価な上に食べられる。キャッサバの澱粉はキロ0・30レアルで、最も安いプラスチックのポリエチレンの3~5レアルの10分の1以下。中身を食べた後、容器や匙が食べられればゴミも減る。
 石油系プラスチックの加工には3リットルの水が必要だが、キャッサバの澱粉は10ccで良いし、水があれば3時間、通常の状態でも最大30日間で分解される。石油はいつかなくなるが、原材料が動植物なら栽培や養殖で補える。
 サンパウロ州ボツカツの業者は7年前から澱粉製の容器類の製造を手掛け、著名な観光地やリオ五輪のような大型イベントにも納入しているが、バイオプラスチックの開発や普及への公的支援は僅かだという。
 興味深いのは、オレンジの皮やエビの殻で作った粉と澱粉で作るフィルム状の製品を使う、コロナ感染症患者の味覚テストだ。業界では、新たな果物などを使ったバイオプラスチック製造にも積極的に取り組んでいる。

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