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《ブラジル》患者でクロロキン人体実験?=7人死亡を隠蔽と内部告発=国内史上最悪の医療スキャンダルか

プレベンチの本部(facebook)

 サンパウロ市内に複数の病院を運営する高齢者向け大手医療保険会社「プレベンチ・セニオル」が、ボルソナロ大統領がコロナウイルス治療薬として期待していたクロロキンなどによる治療を秘密裏に行い、患者7人が死亡したのにその事実も隠していたという疑惑を、上院のコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)が調べ始めている。16、17日付現地紙、サイトが報じている。
 プレベンチ社に関する疑惑は、グローボ局系列のニュース専門局「グローボニュース」が4月11日付で報じたことがきっかけで、他のメディアでも取り上げられ始めた。カルタカピタル・サイトは17日付けで《プレベンチ・セニオル事件はブラジル史上最悪の医療スキャンダル》と報じた。
 4月11日付G1サイトによれば、プレベンチ社ではこのとき既に、Kit Covidと呼ばれる早期治療用の医薬品を処方された患者が、急性肝炎を起こして死亡する例や、コロナ感染症に感染した医師が診察を強要されていたことなどが報じられ、検察の捜査対象となっていた。
 捜査の発端となったのはボルソナロ氏自身が2020年4月18日に行ったツイッターでの投稿で、プレベンチ社がKit用の医薬品で治験を行っていたことが明らかになっていた。
 大統領はそこで、「プレベンチからヒドロキシクロロキンの処方治験の結果が発表された。636人の治験者のうち、224人にヒドロキシクロロキンを処方しなかったところ、12人が入院し、5人が亡くなった。だが、施した412人のうち、入院したのはわずか8人で、死者はゼロだった」と喜んでいた。

 だが、この翌日、プレベンチ社の心臓外科医ロベルト・エスペル氏は、研究員に向けた音声通話を通じて大統領のこのツイートについて話し、「データが未完全で、完璧なものにする必要がある」と不満をもらしていたことがわかっている。
 大統領が使った資料は20年4月15日時点での資料だったが、17日の時点でプレベンチ社側は「まだクロロキンの効用を示せるものはない」との見解を出していた。
 プレベンチ社がコロナ禍によるパンデミックの初期に、Kitの医薬品の治験を行うことで連邦政府と合意を結んでいることを告発する15人の医師たちの署名入り文書は8月26日にCPIに届けられており、患者や家族の同意も得ずに、医薬品の効用を確かめる治験が行われていたことなどが明らかにされていた。
 この文書にアクセスしたグローボニュースが今月16日に行った報道によると、昨年行われた治験は国家研究倫理委員会(Conep)の許可を取らずに行われたもので、実際には、この治験によってヒドロキシクロロキンを処方された人が7人亡くなっていたことが隠されていたという。
 この日はプレベンチの代表者がCPIに召喚されていたが、日程が合わず、委員会に出席できないと理由を付けて欠席。同日は、医師たちの提出した文書は偽造されたものだとして、告発された内容も否定している。

プレシーザ本社に家宅捜索

 他方、17日にはサンパウロ市にあるプレシーザ社のオフィスがCPIの要望により、連邦警察の家宅捜査の対象となった。下院の連邦政府リーダーで元保健相のリカルド・バロス氏と深い関係にある同社は、保健省とインドのバラット社が相場の10倍の価格で16億レアルの契約を結んだ際、憲法で禁止されている仲介企業として参加し、米国ファイザー社のワクチンでは330日かかった契約を、97日間という異例の速さで行っていた。
 同CPIのレナン・カリェイロス報告官は、コロナ禍に伴う多くのスキャンダルに関与した疑いでボルソナロ氏の責任を問うことを希望しており、同CPIの名前で罷免法の改正を申し出る意向があるとも語っている。

★2021年9月15日《ブラジル》特別寄稿=ボルソナロ豹変の背景にあるもの=ジャパンデスク社 高山直巳
★2021年9月14日《記者コラム》「国民への宣言」が意味するもの=テメル前大統領仲介という分水嶺
★2021年9月7日《記者コラム》常にある軍事クーデターの危険性=自作自演で議会や最高裁乱入か

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