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文芸

連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(35)

ニッケイ新聞 2013年10月31日 「おっしゃる通り、この日本の十倍以上もある広いアマゾナスでも極楽浄土は極僅かしかなく、インディオは、それを守るために地獄の戦いをします。アメリカの西部劇で侵入して来た白人をインディアンが襲う場面がありますね、あれは本当です。ですが、映画の様に略奪ではありません。それにインディアンが野蛮だった ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(34)

ニッケイ新聞 2013年10月30日 「ええ、それから数年後、あのビラ・アマゾニアの日本人無縁墓地に対岸から供養され、その最中、河に入水して消息を絶たれたのです」 「ええっ、どうしてそんな事に?」 「謎と云うしかありません。遺体も見つからないままです」 「アマゾンと云う大自然は・・・、一筋縄ではいかないですね」 「そうなんです。 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(33)

ニッケイ新聞 2013年10月29日 「アマゾンと聞けば、どうしてか、熱帯雨林をイメージするのですが、雨が降りっぱなしなのですか?」 「アマゾンと云っても日本の十倍以上の広さですからね、いろいろです。私が入植したトメアスは、年に三、四ヶ月が雨季で、三ヶ月位がまあまあで、後の半年は乾季です。乾季と云っても三日に一度スコールがありま ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(32)

ニッケイ新聞 2013年10月26日 「私がブラジルに着いた日、ジョージさんが強盗から救ってくれたんです」 「へー、そうだったのですか・・・」 「西谷さん、ここからトメアスまで何時間くらいかかるのですか?」 「昔はトメアス配耕地からサンパウロまで、うまくいって四日かかりましたが、今回の旅はサンパウロから北に一千キロ離れた首都のブ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(31)

ニッケイ新聞 2013年10月25日  西谷が驚いた顔で、 「えっ、今はバスが運行されているのですか! で、そのジョージさんの友人とは旅行社の方ですか?」 「いえ、刑事時代の相棒で、二年前までサンパウロ州の小さな町の署長をしていた奴です。如何したことか、今は、連邦警察の北方面の副司令官になっているんですよ」  西谷が目を丸くして ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(30)

ニッケイ新聞 2013年10月24日 「仏壇です。大仏堂で特別安くしてくれました。よろしいですか?」 ジョージは、今更、仏壇を外させる勇気はなかった。 「かまいません」そう言ったジョージが、 「中嶋さん、ちょっと、お願いがあるんですが」 「どうぞ」 「実は、拝んでもらいたいものがあるんです」 「なにをですか?」 「刑事時代の亡く ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(29)

ニッケイ新聞 2013年10月23日  中嶋和尚は、この法要の謹行により、お『釈迦』さま直々の免状と不思議な力を授かった。 「中嶋和尚、ご苦労さまでした。お茶を用意しております。こちらヘどうぞ」西谷の顔が前よりも明るくなっていた。  法要を始める前よりも頬がくぼんだ中嶋和尚だが、一回り大きくなった様に、西谷は思った。 「不思議な ...

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刊行物『朝蔭』

ニッケイ新聞 2013年10月23日  句集『朝蔭』10月号(第408号)が刊行された。  巻頭「句帳」(念腹、その一句「初稽古 鞠と走りて 地に倒れ」)、「雑詠 寿和選」から3句「焼畑を 耕すマヤ族 急斜面」(鈴木ともや)、「一病を 共に白寿の 春の宴」(香山和栄)、「父の日や 白きヴェストの 贈物」(檀正子)、「忘れ得ぬ人た ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(28)

ニッケイ新聞 2013年10月22日  中嶋はジョージのアパートを出ると直ぐに方向が分からなくなった。数珠を左手に掛け、立ち止まり、目を瞑ると今まで経験した事がない自己暗示の幻覚が現れ、聴覚や嗅覚も驚くほど鋭くなった。  中嶋は、科学万能主義者では絶対に説明出来ない不思議な力で、左方向から漂ってくる僅かな線香の匂いを嗅ぎ取った。 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(27)

ニッケイ新聞 2013年10月19日  アパートに戻ると、中嶋は昨夜洗った法衣にアイロンをかけ、身に着けると数珠を手にした。 「中嶋さん、それは?」 「数珠です」 「カトリコ(カトリック教徒)も『ロザリオ』と云って同じ物を使いますよ」 「そうですか。これは私の一番大事な仏具です」 「しかし、長いなー」 「珠は一〇八個あります。半 ...

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